部長と私の秘め事
「びゃっ!」
シャワーはどこを捻ったらどこからお湯が出てくるか分からず、案の定壁から噴射してくるシャワーから、全身に冷水を浴びてしまって悲鳴を上げた。
「うう……」
慌ててあちこち弄ったあと、ようやく普通のシャワーを浴びる事ができて溜め息をつく。
「はぁ……」
アメニティは気になるけれど、やっぱり使い慣れたシャンプーが落ち着くので、シャカシャカと髪を洗っていく。
今回もたっぷりゴージャスな旅行を堪能させてもらったけれど、明日帰れると思うと少しホッとする。
(やっぱり、おうちが一番なんだなぁ)
そして三田のあの豪邸をすっかり「おうち」認定している自分に、クスッと笑みが漏れる。
またあの広々としたリビングで、ジャズを聴きながら美味しいコーヒーを飲んで、尊さんとくっついて過ごせると思うと嬉しい。
彼はタブレットで投資関係のチャートを見たり、私は私で電子漫画を見たりで、お互い好きな事をやっているけれど、一緒にいられる時間はプライスレスだ。
(恵、お土産喜んでくれるかな)
ちょっと会っていないだけだけど、いつもは毎日のように社食で顔を合わせていたので、親友の顔も見たくなる。
恵はいつもクールでスッとしてるけど、私に対して突っ込みながらも、目はとても優しいので、彼女といるとのびのび過ごせる。
(疲れたし、今夜はぐっすり寝よう。明日、怒濤のお土産ラッシュだ。思い残しのないように、美味しそうな物を片っ端から買わないと)
浴槽にゆっくり浸かった私は、ふくらはぎを雑巾絞りのようにマッサージしていく。
胸のためにも、肩甲骨周りをしっかりほぐして、なるべく全身凝りがないように心がける。
バスタイムは誰にも顔を見られていないし、二重顎防止、ほうれい線防止の変顔運動も心置きなくしておく。
いくら尊さんでも、舌を思いきり出したり、タコの口をしていたり、舌回しをしている顔を見られたくない。
恵はそういうのをまったく気にしていないけれど、『共にやろう!』と肩に両手を置いて勧めたら『……お、おう』と頷いて、一緒にやってくれるようになった。
「お先にいただきました~」
ドライヤーを掛けてスキンケア、ボディケアもしてスッキリして登場すると、彼は「おう」と手を挙げる。
「俺も汗流してくるか……」
「あっ、ごめんなさい。私全部終えてしまったので、シャワー中に突撃できません」
「コノ、コンニャロ」
尊さんの十八番を弄ると、彼は私の鼻を摘まんでクニクニしてくる。
「いひひ」
尊さんが立ち去ったあと、私は充電しておいたスマホを手にして弄り始めた。
(おや)
恵からメッセージが入っていて、私はトークルームを開く。
【九月のシルバーウィークに同窓会があるらしいんだけど、どうする?】
「あー……」
私は恵の【どうする?】の意味を理解して声を漏らす。
ぶっちゃけ、学生時代の私はあまり感じが良くなかった。
中学生時代は父を喪った事で友達と友情を育むどころじゃなかったし、恵がいてくれたらそれでいいやと思っていた。
高校生になって昭人と付き合い始め、〝いつもの三人〟で過ごして、他は割とどうでも良かった。
恵が仲良くしている女子と一緒にお弁当を食べさせてもらったけど、彼女たちは恵の友達であって、私が馴れ馴れしく話しかけるのも違うと思ったので、あまり話さなかった。
でもその子たちは嫌な事を言わなかったし、一緒にいて割と心地よかった。
けど中学生時代の人たちには嫌われていたと思うし、同窓会と聞いてどの範囲の人が来るか分からず、悩んでしまう。
恵からのメッセージには会場となるだろうホテルの名前もあって、多分割と規模が大きいんだろう。
(だったら色んな人が来るだろうなぁ……)
けれど私が行かないと言ったら、恵も行かないと言いかねないし、彼女を慕っている人たちに悪い。
(美味しい物ぐらいは食べられるかも)
そう思い【行きたい】と返事を送った。
シャワーはどこを捻ったらどこからお湯が出てくるか分からず、案の定壁から噴射してくるシャワーから、全身に冷水を浴びてしまって悲鳴を上げた。
「うう……」
慌ててあちこち弄ったあと、ようやく普通のシャワーを浴びる事ができて溜め息をつく。
「はぁ……」
アメニティは気になるけれど、やっぱり使い慣れたシャンプーが落ち着くので、シャカシャカと髪を洗っていく。
今回もたっぷりゴージャスな旅行を堪能させてもらったけれど、明日帰れると思うと少しホッとする。
(やっぱり、おうちが一番なんだなぁ)
そして三田のあの豪邸をすっかり「おうち」認定している自分に、クスッと笑みが漏れる。
またあの広々としたリビングで、ジャズを聴きながら美味しいコーヒーを飲んで、尊さんとくっついて過ごせると思うと嬉しい。
彼はタブレットで投資関係のチャートを見たり、私は私で電子漫画を見たりで、お互い好きな事をやっているけれど、一緒にいられる時間はプライスレスだ。
(恵、お土産喜んでくれるかな)
ちょっと会っていないだけだけど、いつもは毎日のように社食で顔を合わせていたので、親友の顔も見たくなる。
恵はいつもクールでスッとしてるけど、私に対して突っ込みながらも、目はとても優しいので、彼女といるとのびのび過ごせる。
(疲れたし、今夜はぐっすり寝よう。明日、怒濤のお土産ラッシュだ。思い残しのないように、美味しそうな物を片っ端から買わないと)
浴槽にゆっくり浸かった私は、ふくらはぎを雑巾絞りのようにマッサージしていく。
胸のためにも、肩甲骨周りをしっかりほぐして、なるべく全身凝りがないように心がける。
バスタイムは誰にも顔を見られていないし、二重顎防止、ほうれい線防止の変顔運動も心置きなくしておく。
いくら尊さんでも、舌を思いきり出したり、タコの口をしていたり、舌回しをしている顔を見られたくない。
恵はそういうのをまったく気にしていないけれど、『共にやろう!』と肩に両手を置いて勧めたら『……お、おう』と頷いて、一緒にやってくれるようになった。
「お先にいただきました~」
ドライヤーを掛けてスキンケア、ボディケアもしてスッキリして登場すると、彼は「おう」と手を挙げる。
「俺も汗流してくるか……」
「あっ、ごめんなさい。私全部終えてしまったので、シャワー中に突撃できません」
「コノ、コンニャロ」
尊さんの十八番を弄ると、彼は私の鼻を摘まんでクニクニしてくる。
「いひひ」
尊さんが立ち去ったあと、私は充電しておいたスマホを手にして弄り始めた。
(おや)
恵からメッセージが入っていて、私はトークルームを開く。
【九月のシルバーウィークに同窓会があるらしいんだけど、どうする?】
「あー……」
私は恵の【どうする?】の意味を理解して声を漏らす。
ぶっちゃけ、学生時代の私はあまり感じが良くなかった。
中学生時代は父を喪った事で友達と友情を育むどころじゃなかったし、恵がいてくれたらそれでいいやと思っていた。
高校生になって昭人と付き合い始め、〝いつもの三人〟で過ごして、他は割とどうでも良かった。
恵が仲良くしている女子と一緒にお弁当を食べさせてもらったけど、彼女たちは恵の友達であって、私が馴れ馴れしく話しかけるのも違うと思ったので、あまり話さなかった。
でもその子たちは嫌な事を言わなかったし、一緒にいて割と心地よかった。
けど中学生時代の人たちには嫌われていたと思うし、同窓会と聞いてどの範囲の人が来るか分からず、悩んでしまう。
恵からのメッセージには会場となるだろうホテルの名前もあって、多分割と規模が大きいんだろう。
(だったら色んな人が来るだろうなぁ……)
けれど私が行かないと言ったら、恵も行かないと言いかねないし、彼女を慕っている人たちに悪い。
(美味しい物ぐらいは食べられるかも)
そう思い【行きたい】と返事を送った。