部長と私の秘め事
 そのあと、尊さんはフレンチトーストやサラダなどを作り始め、私はたっぷり柔軟をしてから彼を手伝った。

 尊さんは……、さすが私の胃を分かってくれてか、「フレンチトーストだけじゃ足りねぇだろ」と、ベーコンエッグのパンケーキも二枚焼いてくれた。

 彩りサラダに町田さんが買っておいてくれた、具だくさんスープを温め、オレンジジュースと牛乳、フルーツにヨーグルト、蜂蜜を掛けた物で朝食が始まった。

「んン、おいふぃ」

「そいつぁ良かった。あー、でもしっかりめに作りすぎたか? 冷蔵庫のケーキあるからな?」

「はい! 無駄にせず美味しくいただきます」





 その週末は主にケーキを食べて〝朱里グルメレポート〟を書きつつ、ゆっくりと過ごした。



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 月曜日、私は久し振りに出社した。

(沢山遊んだから、しっかり仕事しないと)

「おはようございます」

 すでに副社長秘書室にいた笹島さんに挨拶をした私は、お土産の紙袋を手渡した。

「旅行に行きまして、お土産です」

「ありがとうございます。こんなに沢山お気遣い感謝します」

 それから私は笹島さんと協力して、尊さんに今日の会議、来客の確認を報告し、会議室の予約確認、直近の出張や会食、移動時間の確認などをした。

 他にもメールの確認、社内決裁、契約書、招待状、手紙……諸々を優先順位ごとに仕分けする。

 秘書課のほうで副社長案件は回してくれていたけれど、笹島さんがちょいちょい会社に顔を出して整理してくれたとはいえ、休んでいた間、膨大な数になっている。

 午前中は来客の対応をし、応接室を整えてお茶、会議資料の配布をし、役員の来る時間を調整して、会議が始まったら邪魔にならないところで、タブレットにトントコと箇条書きにメモしていく。

 それから部長クラスや広報などから、尊さんにちょっとした用事、決裁、取材依頼の対応の話があったら、それも調整しつつ通していく。

 随時電話もして、社長、取引先、証券会社、銀行、官公庁、株主など取り次いでいく。

 そして今夜の接待の予約を確認、アレルギーや人数、席順の確認をしたあと、ダッシュで手土産を買いに行った。

 お昼はお土産を持ってダッシュで社食に行き、恵と「よーっす」と挨拶をして、商品開発部の皆さんへのお土産を託す。

 久し振りの社食の大盛りパスタを食べ、サラダもしっかりモシャモシャ食べて、またバタバタと去って行く。

 旅行帰りに渡したスイーツや豚まん、美味しかったとの事で良かった。

 恵に元気をもらってやる気ビンビンで戻ったあと、慶弔の処理をし、午後の会議に向かう。



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 ドタバタした日常を送っていたら、水曜日にエミリさんから声を掛けられた。

 ちなみに春日さん、エミリさんにも休みの間にお土産を渡し済みだ。

 勿論、実家にも行った。

「秘書課の面々が、笹島さんの歓迎会をしたいって」

「はぁ……」

「私の時はなかったな」と思いつつ生返事をする。

「……秘書課の方々、どんな感じですか?」

 エミリさんに尋ねると、スパッと一刀両断された。

「女子はハイエナ。男子は尻に敷かれてる」

 それだけで十分に理解した。

「フォローはするし、全員が嫌な人ではないわ。まぁ、ちょいちょいクセの強いのはいるけど」

「ありがとうございます。丸木さんがいてくれたら心強いです」

「……役員は参加せず、秘書だけの集まりだから、気をしっかり持ってね」

「はい!」

 その後、歓迎会が行われるお店の案内をもらい、家に帰ったあと尊さんにも一言伝えておいた。

「エミリがいれば大丈夫かと思うが、嫌な事を言われたら報告しろよ?」

「了解です!」

 グッと拳を握ると、尊さんは溜め息をついた。



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