部長と私の秘め事
「発色がいいのが好きなので、ディオールとかYSLとかをよく使います。あとはスックとかも」
「ハイライターって迷いません?」
「分かります! 私、その日の気分で色んなの使ってるかな。リキッド系のハイライターは、ちょっとファンデに混ぜたりします」
「なるほど! あ~、ピアス可愛い。……ん? これってショーメじゃないですか? さり気ないから気づかなかった!」
あまりオフィスにギラギラしたハイブランドはつけられないけれど、尊さんがこないだ『ん』って某アニメの少年みたいにくれた。
もらったのはショーメのハニカム柄が印象的なビー・ドゥ・ショーメだ。
尊さんいわく『一見普通のフープピアスに見えるから、オフィスでもつけられるだろ』らしい。
「もしかして〝彼〟からの贈り物ですか?」
「んー……、まぁ、あの……、はい……。自分では買えないので……」
「いーなぁ。素敵! 愛されてますね~。私も彼におねだりしちゃおっかな」
金銭が絡む事に対してうかつな事は言えないので、私はとりあえずニコニコしておく。
「……あ、そうだ。上村さん、お近づきの印にこれプレゼントしちゃいます。お嫌いじゃなかったら」
そう言って、小鳥遊さんがランチバッグ(今日はお弁当だった)から出したのは、フラペチーノで有名な某コーヒーショップのチャームだった。
抹茶のフラペチーノがぬいぐるみになったチャームで、お馴染みのロゴもついていて非常に可愛い。
「えー!? いいんですか? めっちゃ可愛い!」
「ちょっと前にガチャが始まって、その商品で恐縮なんですが、可愛いなって思って。上村さん、フラペチーノ好きそうですし」
「あはは、大好きです! ありがとうございます! 大切にしますね」
チャームを受け取った私は、何かお礼をしないとな、と思いながら、お手洗いを出て小鳥遊さんと別れた。
**
「ふぅん」
小鳥遊さんからもらったチャームの話をすると、尊さんの反応はそれだけだった。
「えー? それだけ? 可愛いじゃないですか」
「うん、可愛いけど……」
尊さんの反応が悪い。
私はどすんっと彼の隣に座り、尊さんに膝枕してもらう体勢になると、ジタバタし始める。
「いやいやいやいや!」
「どこの駄々っ子だよ……」
「あはは!」
私が笑ったのと同時に噴き出した尊さんは、ヒョイとチャームを取り上げる。
「……まぁ、普通に可愛いな」
「でしょー」
私は自慢げにニマニマする。
「最近仲よくなった、秘書課の小鳥遊さん?」
「そう。最初、ちょっと警戒していたんですが、でも普通にいい子だな~と思って」
「ふーん……」
尊さんは目の前にチャームをぶら下げ、それを見つめたあと、ムニムニとチャームを押しまくる。
「あんまり乱暴にしないでくださいよう。……それにその、気のない感じは何ですか? 尊さんも彼女を疑ってる系?」
「……いや、せっかく仲良くなってるのに腐すつもりはないんだが、……ちょっと違和感があってな」
恵と同じように違和感と言われ、胸の奥にモヤッと黒いものが広がる。
「……どういう?」
起き上がって尋ねると、彼はチャームをテーブルの上に置き、胡座をかいて言う。
「こう言ったら傷つけるかもしれないが、朱里の歓迎会は行われなかった訳だろ?」
「……はい」
気にしていないつもりでいたけど、事実を突きつけられると少ししょんぼりしてしまう。
「小鳥遊さんが最初から朱里に友好的だったとしよう。歓迎会については、〝上〟の怖い先輩に強く言えず、行えなかったのは仕方がない。……でも、仲良くなりたいと思っていたなら、その頃から個人的に声を掛けてもおかしくないんじゃないか? ……時期がなんだかずれてるんだよな」
「……まぁ、それは確かに。……でも、今回の歓迎会があったから、声を掛ける気持ちになったとかはありませんか? タイミングを失ったら、なかなかできない事ってありますし、秘書課の仕事も凄く忙しいと思いますし」
そう言うと、尊さんは私をジッと見つめて言う。
「ハイライターって迷いません?」
「分かります! 私、その日の気分で色んなの使ってるかな。リキッド系のハイライターは、ちょっとファンデに混ぜたりします」
「なるほど! あ~、ピアス可愛い。……ん? これってショーメじゃないですか? さり気ないから気づかなかった!」
あまりオフィスにギラギラしたハイブランドはつけられないけれど、尊さんがこないだ『ん』って某アニメの少年みたいにくれた。
もらったのはショーメのハニカム柄が印象的なビー・ドゥ・ショーメだ。
尊さんいわく『一見普通のフープピアスに見えるから、オフィスでもつけられるだろ』らしい。
「もしかして〝彼〟からの贈り物ですか?」
「んー……、まぁ、あの……、はい……。自分では買えないので……」
「いーなぁ。素敵! 愛されてますね~。私も彼におねだりしちゃおっかな」
金銭が絡む事に対してうかつな事は言えないので、私はとりあえずニコニコしておく。
「……あ、そうだ。上村さん、お近づきの印にこれプレゼントしちゃいます。お嫌いじゃなかったら」
そう言って、小鳥遊さんがランチバッグ(今日はお弁当だった)から出したのは、フラペチーノで有名な某コーヒーショップのチャームだった。
抹茶のフラペチーノがぬいぐるみになったチャームで、お馴染みのロゴもついていて非常に可愛い。
「えー!? いいんですか? めっちゃ可愛い!」
「ちょっと前にガチャが始まって、その商品で恐縮なんですが、可愛いなって思って。上村さん、フラペチーノ好きそうですし」
「あはは、大好きです! ありがとうございます! 大切にしますね」
チャームを受け取った私は、何かお礼をしないとな、と思いながら、お手洗いを出て小鳥遊さんと別れた。
**
「ふぅん」
小鳥遊さんからもらったチャームの話をすると、尊さんの反応はそれだけだった。
「えー? それだけ? 可愛いじゃないですか」
「うん、可愛いけど……」
尊さんの反応が悪い。
私はどすんっと彼の隣に座り、尊さんに膝枕してもらう体勢になると、ジタバタし始める。
「いやいやいやいや!」
「どこの駄々っ子だよ……」
「あはは!」
私が笑ったのと同時に噴き出した尊さんは、ヒョイとチャームを取り上げる。
「……まぁ、普通に可愛いな」
「でしょー」
私は自慢げにニマニマする。
「最近仲よくなった、秘書課の小鳥遊さん?」
「そう。最初、ちょっと警戒していたんですが、でも普通にいい子だな~と思って」
「ふーん……」
尊さんは目の前にチャームをぶら下げ、それを見つめたあと、ムニムニとチャームを押しまくる。
「あんまり乱暴にしないでくださいよう。……それにその、気のない感じは何ですか? 尊さんも彼女を疑ってる系?」
「……いや、せっかく仲良くなってるのに腐すつもりはないんだが、……ちょっと違和感があってな」
恵と同じように違和感と言われ、胸の奥にモヤッと黒いものが広がる。
「……どういう?」
起き上がって尋ねると、彼はチャームをテーブルの上に置き、胡座をかいて言う。
「こう言ったら傷つけるかもしれないが、朱里の歓迎会は行われなかった訳だろ?」
「……はい」
気にしていないつもりでいたけど、事実を突きつけられると少ししょんぼりしてしまう。
「小鳥遊さんが最初から朱里に友好的だったとしよう。歓迎会については、〝上〟の怖い先輩に強く言えず、行えなかったのは仕方がない。……でも、仲良くなりたいと思っていたなら、その頃から個人的に声を掛けてもおかしくないんじゃないか? ……時期がなんだかずれてるんだよな」
「……まぁ、それは確かに。……でも、今回の歓迎会があったから、声を掛ける気持ちになったとかはありませんか? タイミングを失ったら、なかなかできない事ってありますし、秘書課の仕事も凄く忙しいと思いますし」
そう言うと、尊さんは私をジッと見つめて言う。