部長と私の秘め事
「話は戻りますけど、いつかカラオケで、私と尊さんと、恵と涼さんで『大地讃頌』やりたいですね」
「ぶふっ」
「ちょうど私、学生時代にソプラノで、恵はアルトだったんですよ」
「じゃあ、俺と涼、じゃんけんだな。声質は似たようなもんだから」
「そのうち男女混声アカペラーズを結成してもいいですね。っていうか、尊さんがピアノで伴奏弾いてくれればいいんですよ。聴きたい!」
「あー、まぁな」
「むふふ、楽しみ」
私は紅茶の香りがフワリとするムースの中にある、桃のコンポートを楽しみつつ、スプーンを動かす。
尊さんはそんな私を見て、また写真を撮ってきた。
そしてスマホで写真を確認し、「……うん」と頷く。
「朱里を摂取して元気になってきた」
「過剰摂取ガンギマリになったら駄目ですよ」
「もうなってるよ。ジャンキーだよ」
彼の言葉を聞き、私はスマホでサッと自分の目の前を隠し、声色を変えて言う。
「『最初は少しだけ』って思ってたんです。それが回を追うごとに摂取量が増えてしまって……」
「オイ、やめろ。迫真の演技やめろ」
「あはは! こうやって尊さんは、私なしに生きられなくなるんですよ。――――ん」
その時、尊さんの手が伸びて顎を捉えられたかと思うと、チュッとキスされた。
「もうなってるよ。…………甘いな」
彼は唇についたムースをペロリと舐め、妖艶に笑う。
私はちょっとびっくりして固まったけれど、たまには恥ずかしがらず積極的になるべきだと思い、尊さんの首に両腕を回すと自分からキスをした。
「ンーマッ」
「何だよそれ」
尊さんはキスに喜びながらも、プルプル震えて笑い出す。
「マッ」
私はもう一度、チュッと音を立ててキスをする。
「分かったから……」
尊さんは笑いすぎて、プルプル震えながら横にドサッと倒れ込む。
「ふふふ……、尊さん、私の事大好きでしょう」
私は彼の目の前にしゃがみ、コソコソと囁く。
「大好きだよ。悪いか」
彼は私の頭を撫で、サラリと髪を手で梳いてくる。
「私は金曜日、恵とイチャイチャして焼き鳥を食べて、月末は女子会でお肉を食べるんです。いいでしょ~」
「……畜生。朱里に餌付けするのは俺の役目なのに」
「たーくさんお肉食べちゃうもんね」
「ちくしょ……」
「ふーふー、ハフッハフッ、ガブッ、モグモグモグ……、ゴクゴクゴク……、プハーッ」
「畜生……、擬音だけなのに朱里が美味そうに食ってるのが伝わってくる……」
「私は尊さん以外の人にも、簡単に幸せにさせられちゃうんですよ~」
「コンニャロ、嫉妬させたいのか」
尊さんは私の耳をクニクニと揉み、最後に「餃子」と二つに折り畳む。
「ひひひ! 懐かしい! 子供の頃にやりました。餃子」
私は笑ったあと、床に座った体勢でソファに寝転んだ尊さんを抱き締める。
「……もうこれで一旦落ち着いたと思っていいんでしょうか」
「……だな。すぐには決定できないから、一か月弱はかかるだろうが、朱里はもう心配しなくていい。もう少ししたら秘書課は居心地のいい場所になると思う」
「うん、ならいいんです。……あ、ヒアリングの詳細は教えないでくださいね。聞かないほうがいい事ってあると思うので」
「分かった」
「私と尊さんの仲でも、個別ヒアリングは機密事項に当たると思います。それにぶっちゃけ……、多分私が聞いても面白くない、傷付く内容だと思うので、それだったら最初から知らないほうがいいんです。〝気がついたら秘書課のメンツが変わってた〟。それぐらいで丁度いいです」
「だな」
「……でもちょっと、雰囲気で落ち込んでるから、甘えさせてください」
「どれだけでもどうぞ」
「……ンーマッ」
「またそれかよ」
尊さんがケラケラ笑い、思った通りの反応をもらえて嬉しい私も一緒に笑った。
**
「ぶふっ」
「ちょうど私、学生時代にソプラノで、恵はアルトだったんですよ」
「じゃあ、俺と涼、じゃんけんだな。声質は似たようなもんだから」
「そのうち男女混声アカペラーズを結成してもいいですね。っていうか、尊さんがピアノで伴奏弾いてくれればいいんですよ。聴きたい!」
「あー、まぁな」
「むふふ、楽しみ」
私は紅茶の香りがフワリとするムースの中にある、桃のコンポートを楽しみつつ、スプーンを動かす。
尊さんはそんな私を見て、また写真を撮ってきた。
そしてスマホで写真を確認し、「……うん」と頷く。
「朱里を摂取して元気になってきた」
「過剰摂取ガンギマリになったら駄目ですよ」
「もうなってるよ。ジャンキーだよ」
彼の言葉を聞き、私はスマホでサッと自分の目の前を隠し、声色を変えて言う。
「『最初は少しだけ』って思ってたんです。それが回を追うごとに摂取量が増えてしまって……」
「オイ、やめろ。迫真の演技やめろ」
「あはは! こうやって尊さんは、私なしに生きられなくなるんですよ。――――ん」
その時、尊さんの手が伸びて顎を捉えられたかと思うと、チュッとキスされた。
「もうなってるよ。…………甘いな」
彼は唇についたムースをペロリと舐め、妖艶に笑う。
私はちょっとびっくりして固まったけれど、たまには恥ずかしがらず積極的になるべきだと思い、尊さんの首に両腕を回すと自分からキスをした。
「ンーマッ」
「何だよそれ」
尊さんはキスに喜びながらも、プルプル震えて笑い出す。
「マッ」
私はもう一度、チュッと音を立ててキスをする。
「分かったから……」
尊さんは笑いすぎて、プルプル震えながら横にドサッと倒れ込む。
「ふふふ……、尊さん、私の事大好きでしょう」
私は彼の目の前にしゃがみ、コソコソと囁く。
「大好きだよ。悪いか」
彼は私の頭を撫で、サラリと髪を手で梳いてくる。
「私は金曜日、恵とイチャイチャして焼き鳥を食べて、月末は女子会でお肉を食べるんです。いいでしょ~」
「……畜生。朱里に餌付けするのは俺の役目なのに」
「たーくさんお肉食べちゃうもんね」
「ちくしょ……」
「ふーふー、ハフッハフッ、ガブッ、モグモグモグ……、ゴクゴクゴク……、プハーッ」
「畜生……、擬音だけなのに朱里が美味そうに食ってるのが伝わってくる……」
「私は尊さん以外の人にも、簡単に幸せにさせられちゃうんですよ~」
「コンニャロ、嫉妬させたいのか」
尊さんは私の耳をクニクニと揉み、最後に「餃子」と二つに折り畳む。
「ひひひ! 懐かしい! 子供の頃にやりました。餃子」
私は笑ったあと、床に座った体勢でソファに寝転んだ尊さんを抱き締める。
「……もうこれで一旦落ち着いたと思っていいんでしょうか」
「……だな。すぐには決定できないから、一か月弱はかかるだろうが、朱里はもう心配しなくていい。もう少ししたら秘書課は居心地のいい場所になると思う」
「うん、ならいいんです。……あ、ヒアリングの詳細は教えないでくださいね。聞かないほうがいい事ってあると思うので」
「分かった」
「私と尊さんの仲でも、個別ヒアリングは機密事項に当たると思います。それにぶっちゃけ……、多分私が聞いても面白くない、傷付く内容だと思うので、それだったら最初から知らないほうがいいんです。〝気がついたら秘書課のメンツが変わってた〟。それぐらいで丁度いいです」
「だな」
「……でもちょっと、雰囲気で落ち込んでるから、甘えさせてください」
「どれだけでもどうぞ」
「……ンーマッ」
「またそれかよ」
尊さんがケラケラ笑い、思った通りの反応をもらえて嬉しい私も一緒に笑った。
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