想いと共に花と散る
互いに一言も話さない沈黙が流れる。
空を上げた雪は、目の前に広がる曇りのない青空に静かに見入った。
「はーい、みたらし団子やでー……って、何二人でぼんやりしてんの。暗い雰囲気が店の中まで届いてんやけどー?」
お調子者の小夜が来なければ、雪と沖田はいつまで経っても口を開けなかったかもしれない。
小夜がみたらし団子が乗った皿を長椅子の上に置くと、雪はようやく彼女に顔を向けた。
沖田との間に流れていた気まずい雰囲気を壊してくれた小夜に、雪は密かに心の中で感謝する。
「別にそんな事ない、気の所為だから。小夜が元気すぎるんじゃない?」
「それこそ気の所為やと思うけどー? まあ、元気そうやからええけどね」
おちゃらけた様子のまま、小夜は雪の隣に腰を下ろした。
一応は勤務時間のはずなのだが、こんなところで油を売っていていいのだろうか。
ふとそんなことを考えるが、自分達も屯所へ帰らないといけないのにここにいるのだから、人のことは言えない。
長らく会っていなかったせいなのか、ここでもまた沈黙が流れた。
「……ねぇ」
そんな沈黙を打ち破ったのは、先程の明るさを失った小夜の沈んだ声である。
雪と沖田は俯く小夜へと視線を向ける。ただならぬ空気を感じ取ったのは、雪だけではない。
「その羽織って、さ……会津藩お預かりになったっていう」
「うん。俺達は京の治安を守るために新しい名をもらったんだ」
「そ、っか。それは、沖田君達にとっては喜ばしいことやんね。大変そうやけど」
本当に言いたいことはこんなことではない、そう小夜の横顔は物語っていた。
「小夜、何かあった?」
俯く小夜の顔を覗き込みながら問いかけると、彼女ははっと目を見開いた。
上げた顔に浮かぶその表情は、豆鉄砲を食らった鳩のよう。図星を指されたと顔に書かれている。
「……あ…………う……えっと……」
天真爛漫という言葉を具現化したような性格の小夜が、こんなにも言葉を詰まらせるとは珍しい。
それだけ言い出しにくいことなのだろうか。
今の雪には、彼女の内に秘められている疑念など感じ取れるはずがなかった。
「……これは、お客さんらが話しとるところを聞いただけやから本当かは……分からないんやけど」
ようやく耳にできた小夜の声は、何かに脅されているのか恐怖に震え、小さな小さな声であった。
空を上げた雪は、目の前に広がる曇りのない青空に静かに見入った。
「はーい、みたらし団子やでー……って、何二人でぼんやりしてんの。暗い雰囲気が店の中まで届いてんやけどー?」
お調子者の小夜が来なければ、雪と沖田はいつまで経っても口を開けなかったかもしれない。
小夜がみたらし団子が乗った皿を長椅子の上に置くと、雪はようやく彼女に顔を向けた。
沖田との間に流れていた気まずい雰囲気を壊してくれた小夜に、雪は密かに心の中で感謝する。
「別にそんな事ない、気の所為だから。小夜が元気すぎるんじゃない?」
「それこそ気の所為やと思うけどー? まあ、元気そうやからええけどね」
おちゃらけた様子のまま、小夜は雪の隣に腰を下ろした。
一応は勤務時間のはずなのだが、こんなところで油を売っていていいのだろうか。
ふとそんなことを考えるが、自分達も屯所へ帰らないといけないのにここにいるのだから、人のことは言えない。
長らく会っていなかったせいなのか、ここでもまた沈黙が流れた。
「……ねぇ」
そんな沈黙を打ち破ったのは、先程の明るさを失った小夜の沈んだ声である。
雪と沖田は俯く小夜へと視線を向ける。ただならぬ空気を感じ取ったのは、雪だけではない。
「その羽織って、さ……会津藩お預かりになったっていう」
「うん。俺達は京の治安を守るために新しい名をもらったんだ」
「そ、っか。それは、沖田君達にとっては喜ばしいことやんね。大変そうやけど」
本当に言いたいことはこんなことではない、そう小夜の横顔は物語っていた。
「小夜、何かあった?」
俯く小夜の顔を覗き込みながら問いかけると、彼女ははっと目を見開いた。
上げた顔に浮かぶその表情は、豆鉄砲を食らった鳩のよう。図星を指されたと顔に書かれている。
「……あ…………う……えっと……」
天真爛漫という言葉を具現化したような性格の小夜が、こんなにも言葉を詰まらせるとは珍しい。
それだけ言い出しにくいことなのだろうか。
今の雪には、彼女の内に秘められている疑念など感じ取れるはずがなかった。
「……これは、お客さんらが話しとるところを聞いただけやから本当かは……分からないんやけど」
ようやく耳にできた小夜の声は、何かに脅されているのか恐怖に震え、小さな小さな声であった。