想いと共に花と散る
禁門の変
夢を見た。とても、暖かくて幸せな夢。
「雪華! 早く起きなさい!」
母親の怒鳴り声が聞こえて、はっと目を覚ますと真っ白な天井が見えた。
視線を横にずらすと、教科書が散乱した勉強机とハンガーラック、戸棚に飾られた大量のぬいぐるみが目に入った。
(……あれ?)
何だか、この光景には妙に違和感がある。
あるはずのないものがあって、あったはずのものがなくて。
何かが確実におかしいのに、どういうわけか懐かしい気がした。この光景をよく知っている気がする。
「なぁんだ……私の部屋じゃん」
単純に寝惚けていただけらしい。
起き上がるとお気に入りのブランケットと掛け布団が目に入る。その光景は、いつもと何ら変わりない日常の始まりを告げていた。
「……って、やば! 寝坊じゃんか!」
未だぼやける頭を無理矢理叩き起こし、時計に目をやると朝の七時半を回っている。
これから着替えて準備をして、朝ごはんを食べたら確実に学校に遅刻してしまうではないか。
ベットから飛び起きてハンガーラックに掛けている中学校の制服を引っ掴むと、忙しなく寝間着から着替えて通学鞄を肩に担ぐ。
部屋を飛び出して一階へ行けば、リビングから朝ごはんのいい匂いが漂ってきた。
「お母さん、なんで起こしてくれなかったの!?」
「何度も起こしたわよ。だから夜更かしするなってあれだけ言ったのに」
ダイニングテーブルの上に並べられた朝ごはんを見るなり腹の虫が鳴る。
幸い、時間はまだあった。急いで朝ごはんを食べれば遅刻はせずに済みそうである。
「いただきます」
乾いた手を叩く音がリビングに響いた。
この音は、こんなにも寂びしいものだっただろうか。もっと騒がしくて、もっと分厚い音だったような気がするのは何故だろう。
「ごちそうさま。行ってきます!」
まあ、どうでもいいか。
いつも通りの朝、いつも通りの通学路、いつも通りの自分。何もおかしいところなど無い。
雲一つない浅葱色の空の下、夏の暑さに肌を焼かれながら真っ直ぐと続く道を駆ける。
「おーい、雪華!」
住宅街の入り組んだ曲がり角を超えれば、その先には友達がいる。
「また遅刻ギリギリじゃん。夜更かししたんでしょー」
「お勧めしてくれたアニメを見てたら止まんなかったの」
「マジっ! 見てくれたんだ!」
学校までの道のりを友達を一緒に進んだ。互いにどうでもいいことを話して、笑って、走って、歩いて。
(……幸せなのに………なんで、寂しいのかな)
当たり前の日常のはずなのに、自分が望む時間が目の前にあるはずなのに。
胸の奥でつっかえる嫌な寂しさがずっと取れなかった。
「雪華! 早く起きなさい!」
母親の怒鳴り声が聞こえて、はっと目を覚ますと真っ白な天井が見えた。
視線を横にずらすと、教科書が散乱した勉強机とハンガーラック、戸棚に飾られた大量のぬいぐるみが目に入った。
(……あれ?)
何だか、この光景には妙に違和感がある。
あるはずのないものがあって、あったはずのものがなくて。
何かが確実におかしいのに、どういうわけか懐かしい気がした。この光景をよく知っている気がする。
「なぁんだ……私の部屋じゃん」
単純に寝惚けていただけらしい。
起き上がるとお気に入りのブランケットと掛け布団が目に入る。その光景は、いつもと何ら変わりない日常の始まりを告げていた。
「……って、やば! 寝坊じゃんか!」
未だぼやける頭を無理矢理叩き起こし、時計に目をやると朝の七時半を回っている。
これから着替えて準備をして、朝ごはんを食べたら確実に学校に遅刻してしまうではないか。
ベットから飛び起きてハンガーラックに掛けている中学校の制服を引っ掴むと、忙しなく寝間着から着替えて通学鞄を肩に担ぐ。
部屋を飛び出して一階へ行けば、リビングから朝ごはんのいい匂いが漂ってきた。
「お母さん、なんで起こしてくれなかったの!?」
「何度も起こしたわよ。だから夜更かしするなってあれだけ言ったのに」
ダイニングテーブルの上に並べられた朝ごはんを見るなり腹の虫が鳴る。
幸い、時間はまだあった。急いで朝ごはんを食べれば遅刻はせずに済みそうである。
「いただきます」
乾いた手を叩く音がリビングに響いた。
この音は、こんなにも寂びしいものだっただろうか。もっと騒がしくて、もっと分厚い音だったような気がするのは何故だろう。
「ごちそうさま。行ってきます!」
まあ、どうでもいいか。
いつも通りの朝、いつも通りの通学路、いつも通りの自分。何もおかしいところなど無い。
雲一つない浅葱色の空の下、夏の暑さに肌を焼かれながら真っ直ぐと続く道を駆ける。
「おーい、雪華!」
住宅街の入り組んだ曲がり角を超えれば、その先には友達がいる。
「また遅刻ギリギリじゃん。夜更かししたんでしょー」
「お勧めしてくれたアニメを見てたら止まんなかったの」
「マジっ! 見てくれたんだ!」
学校までの道のりを友達を一緒に進んだ。互いにどうでもいいことを話して、笑って、走って、歩いて。
(……幸せなのに………なんで、寂しいのかな)
当たり前の日常のはずなのに、自分が望む時間が目の前にあるはずなのに。
胸の奥でつっかえる嫌な寂しさがずっと取れなかった。