甘々とロマンス中毒
「ご飯出来たら起こすよ?」

「それだと呼んだ意味ねえじゃん。つか、俺も手伝う」

「も〜、それじゃあ一咲便の意味ないよ」

「一咲が来るから一咲便だと思ってたわ」

「む…。それはそうだけど」

「俺だけ寛いでるのは落ち着かない」

ママを真似て思いついた提案も、あやちゃんの指先ひとつで、ぽいと摘まれた。

口籠る私は、唇の下に軽く握った拳を添える。
「え…と、ね」ゆらり。あやちゃんを見上げ、尋ねてみた。


「あやちゃんの家なのに?」

「ん。俺の家だからだよ」


まろやかな声に心が傾く。
形勢はあやちゃん有利。もう、掌で転がされている。

「(わぁ…どーしよ。どきどき、おもてなし大作戦5分で完…)」

一咲流ルールだけに留まらず、シナモンの付箋に書き込んだ

どきどき⭐︎おもてなし大作戦
〜ハンバーグとふわふわオムライスを作って、あやちゃんに喜んでもらう〜

*次回の一咲便をご提案する
*おでかけ(ラーメン食べに行く!夏休み・青春ぽいことをする)に誘う

欲張りセット🌼

は、今にも砕け散りそうだ。

じゃあ、お手伝いよろしくお願いします、と聞き分けのある良い子でいたい天使の私と、引き下がらないもん、と唇を尖らせる悪魔の私がいて。

〜〜っ、強行突破しちゃえ…っ。

今日の私は悪魔になることを決めました。


「いーから、私に任せて———キャ」


腕を引き寄せられた。

ローズマリーの香りが私に近づいた。
それは、甘い毒のように私の体に染み込む。


「だったら、一咲も一緒に休む?」


…………え。おやすみ?
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