甘々とロマンス中毒
「(あやちゃん、私とお休みしたいの……?どうして?)」

「一回寝たの、もう忘れた?」

首を倒すあやちゃんが、更に質問を重ねた。

背中に当たるのは、硬い壁。腕を引かれたまま、逃げ場のないところに追いやられていた。

黒曜の双眸からは、余裕の色が見える。反対に、ぱちんと瞬きをする私の瞳からは、慌てふためく見えない星屑が舞う。

「俺は忘れてないけど」と、大人の笑みを溢すあやちゃんに、ぷしゅう…っと熱が頭のてっぺんから蒸発した。

そうなのです。私は、記念すべき第一回目の一咲便で、あろうことか、あやちゃんのベッドで寝てしまいました。

目が覚めたら、私の指先を包んでいるあやちゃんがいて。瞳がぶつかり「おはよ、一咲」と、柔い声で囁くあやちゃんにびっくりして飛び起きた。

「……かえります」と声を弱める私に、あやちゃんは「驚きすぎ」と笑ったの。


「どうする?」


あやちゃんとお休みするって、つまり………あれが、こうで。あの、あの…っ。えっと〜〜っ。

ぎゅうして寝るやつだよね?

まだ、好きですも伝えてないのに、いいの……?

流されるの良くない。ママとの約束も一咲流ルールも、破ることになっちゃう。…から、あやちゃんに確認。動じてないフリして尋ねた。頬が期待に染まって赤らんでる癖に。

「ね…?幼なじみって、そんなことするの?」

「あー……多分?」

「(“多分”て。あやちゃんの口から、あやしい発言が…)」

私の心に不純な気持ちがプラスされて。


「一咲のこと抱いて寝たら、すげー安眠できそう」


甘く誘惑する言葉が決定打となった。

ごめんなさい。一咲は欲望に勝てませんでした。

今日の一咲便はご飯の予定だったけど、あやちゃんがお求めになるなら。

「……いいよ。あやちゃ、(寝る!!)」
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