甘々とロマンス中毒
ご飯を作りに来たのに、甘やかされて寛いで、後ろからのハグに固まっていると、足元で留守番していたスマホが、ささやかに光った。

ゲームアプリのハートが貯まった通知。
時間は18時35分。

は…っ!急いでハンバーグと、ふわふわオムライス作らなくちゃ。

あやちゃんの腕を緩めようと、手の甲にちょこんと触れて、その質感にドキドキしてやめた。くく、と笑うお砂糖みたいな声が頭上に落ちる。

「ハイ、終わり。も…いいでしょ?」と尋ねれば「わかった」と言う。腕がするりと解けた。お腹に溜まる熱は冷めない。

「(…ん…。この様子だと、髪染めたの気づいてないよね)」

俯き加減に、三つ編みの毛先を両手で摘んで、くるくる遊ぶ。私の指から溢れるピンクブラウンの髪を、あやちゃんが掬った。


「とっくに気づいてるよ」

「えっ」

「(つか、全部丸聞こえ)」

人差し指が私の頬を軽く押した。真ん中だけ、ふに、と窪む。どうやら私は、ほっぺをたこ焼きにしてたらしい。

「髪染めたの、すごく似合ってる」

「ええっ!?」

「一咲、かわいーね」

「!!……ありがとー。あやちゃんのこと驚かせたかったから、大成功だ〜。ふふ」


気が抜けて、ぽろと涙が流れた。あやちゃんが親指の腹で拭ってくれるから、私はふにゃと溶けてしまう。

視線を合わせたくて、更に顔を持ち上げた。深い夜色に包まれた無機質な双眸が、私をじっと見つめる。

「どうしたの?」と、揺らいだ声が「ああ。ほんと」静かに呟く、あまりにも低い音に被さった。


「びっくりしたわ。髪が明るくなってるのも、男と写真撮ってたことも」


…………あやちゃんの声、全然甘くない。
これって、なにモードに入ってるの?
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