甘々とロマンス中毒
ドロッと溶けた私は、うるうる揺れる瞳で、あやちゃんを見やる。なにか言いたげに口を噤んで、あやちゃんを見上げる菫花さんの瞳は恋心を纏っている。

鼓動がリズムを速めた。

どうしよう。モヤモヤしてる。
同級生って、ほんとにそれだけなの?

あやちゃんの素っ気ない態度も、菫花さんの距離の取り方も親密に見えて。

———…二人は特別な関係?

しゅんと、私の恋心が泣いて。そこへ伊吹さんの気怠げな声が落ちる。


「ねー、オレもいんだけど。無視しないでよ。菫花、酒飲んで来たの?」

「一杯を〜〜…半分だから飲んでないよ。へへ」

「飲んでるじゃん。つか、酔ってるよ。今日は帰りな。オレたち酔い潰れた菫花の相手できねえ」

「……前は連れて行ってくれた」

「それは相馬《そうま》さんもいたからだろ」

「知ってる」

伊吹さんの後を続けたあやちゃんの言葉に、菫花さんは唇を尖らせた。眉尻を下げて、むす…と不満な表情には、幼さと可愛さが残る。

「あやみくん、わたしも行きたい」

あやちゃんが視線を離した。
片手に持っていたペットボトルの水を、菫花さんの頬にくっつける。

「酔い覚ませよ。これ飲んだら帰れ」

「全然優しくない…っ!(……脈ないってわかってても好き)」


「あやみくんの意地悪〜〜」と、項垂れる菫花さんに「口付けてないから安心しろ」と、あやちゃんはマイペースに言う。更に菫花さんは拗ねるのだ。

『あの二人は“友達”だから、これから先、付き合うことはないよ』

私の隣で伊吹さんが耳打ちした。
ゆらりと見れば、くす、と笑った。なるべく自然に、にこ、と笑みを作って返したの。
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