甘々とロマンス中毒
「…またね」お水を一口飲んだ菫花さんが、半分も減らないペットボトルをあやちゃんの胸に押し付けて、背中を向けた。

人混みに紛れる後ろ姿を眺め「嵐のような子だったな」と、呟く伊吹さんの声には、掠れた低い息が含まれる。「…てか、もう行かないと。オレら遅刻じゃん?」そう、補足して。

「そろそろ行くわ。じゃあな」

ぽか…ん。呆気に取られて溶けた一咲が、ようやく元通りになるの。

あやちゃんが私を見た。

「一咲」

「なあに?」

「夜、電話していい?」

電流が駆け巡る。うん、が喉につかえて、言えなくて、頭の上で大きな丸を描いた。
私からあやちゃんへ精一杯の“いいよ”。

ゆっくり瞬きをした。結んだ唇の端が解ける。頬がこぼれ落ちそうに蕩ける。

あやちゃんが、ひらりと手を振った。

𓈒 𓏸𓈒𓂂𓂃♡

不思議に包まれる私の心。

ふわふわ、くらくら、ゆらゆら、はらはら。

苦いお酒と甘いお酒、どっちが好きなんだろう。
あやちゃんが伊吹さんに話した私のこと、恥ずかしいことじゃなかったらいいな。

星の砂になって、両手から溢れる不安、心配、モヤモヤの欠片たち。心の隅っこにあるゴミ箱に捨てたの。

伊吹さんの言葉を信じよう。
うん…頑張る…。頑張りたい。やっとスタート地点に立てたから、だから…私の恋心はもう、泣かない。
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