甘々とロマンス中毒
顎下にちょこんとシャープペンをくっつけて。
シナモンの付箋に書いた英単語を、じい…と見つめる。

…ダメだぁ。頭の中がパンクしちゃって、新しいコトを覚えるの拒否しちゃってる。

私の記憶箱はキャパオーバー故、テスト勉強は休憩に入ります。

糖分補給はカルピスとチョコパイ。お兄ちゃんからの差し入れ。
ふわふわ生地を頬張りながら、机の上で眠っていたスマホを、ちらっ…ちらっと気にするの。

「(あやちゃんからの電話を待つ時間も、嫌じゃないな。ドキドキは増すけど)」

———ピコンッ! 通知音が可愛く鳴った。

「きゃっ」私の声も宙に舞う。LINEの画面を開いた。あやちゃんだ!

《家着いた》

《おかえりなさい》

《いさく》

ポコン、と浮かんだダブルピースするモモンガのスタンプに戸惑う。誤タップ?小首を傾げた。

《ビデオ通話にしていい?》

「エッ!?今から!?」

《了解です》と送信後、急いでスタンドを用意して。

白色のキャビネットに飾っていたクマのぬいぐるみ(あやちゃんからの誕生日プレゼント)は、ベッドの真ん中。

お風呂は済ませたので前髪だけ整える。すっぴんなのは仕方ないよね…?さくらんぼ柄のキャミソールの上に、オフホワイトのカーディガンを羽織った。フローラルのミストも忘れない。

ヨシッ、準備できた〜!ほっと一安心。あやちゃんから届いた通話ボタンを押した。

『お』

小さな機械の画面の向こう。
首を傾げて私を見るあやちゃんがいるの。

『こんばんは。一咲、ごめんな。遅くなって』

スマホ越しなのに近くにいるみたいで、優しい声に、胸が締め付けられる。

王子さまは恋の休憩を与えてくれない。
私の心は、今夜もあやちゃんに翻弄される。
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