甘々とロマンス中毒
𓈒 𓏸𓈒𓂂𓂃♡

スーツを着た大人、部活終わりの学生で溢れ返るぎゅうぎゅう詰めの電車で、向かい合って立つ私とあやちゃんがいる。

見上げた身長差がもどかしくて、踵を上げて。埋まらない差が悲しくなって諦めて。やっぱり踵を付けて、を繰り返す。

あやちゃんが私の目線に合うよう、腰を低くしてくれた。猫背っぽい格好。些細なことに、胸の奥がきゅうと響いた。

「こっちでいい?」と、聞かれ「…ン。ありがとー」と返す私の想いは見透かされてるだろう。


「なあ、一咲」

頭上に低い声が落っこちた。
ほんのり甘さを含んだ音だ。

「旅行行くまでに、もう一回会える?」

「ひぇ……っ!?」

これは、またまた一咲便のお求め…!?


ふわ〜…っとハートが舞いそうになる気持ち、体の熱に上手く閉じ込めれたかなぁ。表面上はクールを装うの。


「明日と明後日…と、土日も大丈夫だよ。金曜は夜だったら空いてて。来週はね、月曜———ぁ、」


お喋りな口を噤んだ。吐き出した息を、ぱくっと食べる。呑み込む。
紡がれなかった言葉はあやちゃんに掬われて、丁寧に上書きされて。


「一咲、明日も会いたい」


こうやって、ストレートに伝えられると狼狽えてしまった。あやちゃんに『素直・一途・大好き』をいつもお届けしてる私ですが、どうやら受け取る側になると『くすぐったい・照れ・恥ずかしい』が勝るようです。

“YES”一択の返事は、首を縦に振ることが精一杯なのです。
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