甘々とロマンス中毒
「夕方が都合良いよね?」

くーるはそのまま。
突然のご所望に、赤らむ頬が弛まないよう、桃色のティントをのせた唇を、ん、と噛む。

あやちゃんは少しバツが悪そう。眉根がぐっと狭まっている。

どうして?

一咲便であやちゃんに会うのは、いつも遅めな時間だから、明日もそうなのかな。あやちゃんの予定に合わせます!って得意げに構えている反面、頭にふわふわ舞うハテナが離れない。


「ん。昼がいいんだけど、一咲は?俺、夜にバイト———…」

「バイトしてるのっ!?」

予想は大外れ。変化球が飛んできた。
私の弾んだ声はあやちゃんから続きを奪う。二人の瞬きがぶつかって、固まる私と反対に、あやちゃんの艶やかな瞳の黒曜は揺らめく。

ふっと微笑みを口元に寄せた。

「そ。伊吹んとこで、夏休みだけな」

エ…え?えーーーっ。

夏のあやちゃんは期間限定づくしだ。幸せ情報過多に、脳内はショート寸前。

はっ…!伊吹さんって、居酒屋で働いてるよね?お酒は飲めないけどご飯なら…。

次の思考を巡らせるよりも先に唇が動いた。


「今度、行ってもいいですか?」

「………(ヘンな奴に絡まれないか心配だな)」

「ウーロン茶じゃダメ?」

「(カウンターに座らせれば…ああ。でも、伊吹がちょっかい出すから、やっぱダメだ)」

あやちゃん、考え事?
前髪をくしゃと掻き上げて、すっと横に外れた視線が戻ってくる。

〜〜っ、もう一押し!

「いっぱい食べます!」

これでどうだっ。
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