甘々とロマンス中毒
勢い余って言い切っちゃった…!

ほっぺから熱が弾け、息が溢れる。

「そう」と言いながら、あやちゃんが私の腕に掌を添えて、優しく引き寄せた。知らない人と背中合わせだった体がドアに背凭れる体勢になる。

上目遣いで窺っても、正面に立つあやちゃんに見つめ返されるだけだ。蜂蜜色の髪がLEDに照らされ、キラキラ輝く。

『……あやちゃん?』

名前を紡ぐささやかな声は、乗車してくる人たちの不満と苛立ちに掻き消されてしまった。


「奥に進んでくださーい。詰めてー」
「もっと前に行けよ」
「いた…っ。押さないで」

「キャッ!すいません」


誰かがあやちゃんにぶつかった。瞬間、あやちゃんの胸が私の前髪に触れる。吊り革を持っていたあやちゃんの腕が、とんっと落ちて、ドアをつく格好に変わって。

ローズマリーの甘い香りが鼻を掠めた。

壁ドンどころじゃない。これは“ハグ”に近いなにか。

だって…後、少しでも……動いてしまうと、キスの距離だから。

「一咲、苦しくない?」

「……!」

繰り返し頷いた。

「さっきの続き」と、鼓膜に低い声が滑る。顔を下げるあやちゃんが、くすりと笑った。


「お母さんたちとおいで」


おねがい。胸の高鳴り、早くおさまって。


「ウン」

「すげえ、楽しみだな」


心臓がこわれそう。
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