年下研修医の極甘蜜愛


 カクテルドレスはしわにならないように、パウダールームに設えてあるオープンクローゼットのハンガーに掛けておく。既に仁寿のワイシャツとネクタイ、スラックスが掛けてある。脱いだ下着とストッキングは、几帳面にたたまれた仁寿のそれと並べて目隠しのタオルをかぶせる。

 彩がパウダールームでメイクを落としてバスルームに行くと、シャワーブースの湯煙の中で、仁寿が豪快に髪の毛を洗っている最中だった。全面が白い壁で囲まれたバスルームは、時間の感覚がなくなってしまうくらい明るい。うっかり、今が夜だということを忘れてしまいそうだ。

 彩は、素肌に巻きつけたバスタオルに緩みがないかを確認して、シャワールームのドアを開けた。


「お……、お邪魔します」

「あ、彩さん。こっちに来て。僕が洗ってあげる」


 シャワーに打たれながら、仁寿が手招きする。余分な肉がなくて、かといって痩せすぎているわけでもない。軽く割れた腹筋は控えめにいっても最高の目の保養だと思う。大学生のころ本屋さんで立ち読みしたメンズ雑誌に載っていた、雨も滴るいい男特集のモデルみたいだ。最悪な失恋のあとは、静止画だけがときめきの対象だった。


「いえ、恥ずかしいので自分で洗います」

「えーっ、大丈夫だよ。コンタクトをはずしているから、あまりよく見えてないし」

「本当ですか?」


 訝しむ彩に、仁寿が眉間にしわを寄せ、目を細めて見えてないアピールをする。一応、腰にタオルを巻いてくれているし、大丈夫だろう。なにが大丈夫なのかよく分からないが、彩は仁寿の「よく見えてない」を信じてシャワーの下に立った。


「お湯、熱くない?」

「はい、ちょうどいいです」

「じゃあ、頭から洗うね」

「お願いします」

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