年下研修医の極甘蜜愛


「わたし、先生に会えるのを楽しみにしていました」


 嘘じゃない。先日メッセージアプリで会う約束をした時も、今日医局を出る時も、気分が高揚して晴れやかな気持ちだった。


「本当?」


 ぱあっと光が差すように、仁寿の表情が明るさを取り戻す。


「彩さん、今日は午後から休みだって言ってたよね。予定があるの?」

「出張の準備をしようと思って、半休にしてもらったんです。予定らしい予定はなにも」

「じゃあ、とりあえずその書類を持って僕の家に帰ろう。あとで彩さんの家まで送るよ」

「え……、でも」

「実は僕、当直明けなんだ。仮眠をとる暇がなかったから、ちょっと限界かも。書類の確認は、少し寝てからでもいい?」

「あ、先生は当直明けでしたね。ごめんなさい、気が利かなくて」

「ううん、気にしないで」


 行こう、と仁寿がコートを羽織って席を立つ。彩は、書類を封筒にしまってコートに袖を通すと、ハンドバッグと日傘をつかんで仁寿のあとを追った。
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