天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
うふふふ、とお義母さんは笑う。宗司さんらしくて思わず笑っていると、お義母さんが「志季子さんの子どもはどうなるかしらねえ」とあっさりと言う。
「え」
私と宗司さんの子ども。
一瞬想像して、胸がキュンとした。そんな未来があると、ちょっと前まで想像すらしていなかった。
「志季子さんに似て、素直で可愛らしいといいんだけど……」
「こら、気が早い」
「あ! あらやだ、もう。私そういうところあるのよ、本当に。嫌よねえ姑にそんなこと言われたら」
「まだ姑ですらないよ」
「やだもう、わたしったら」
お義母さんがあまりにシュンとするので、「大丈夫です」と慌てて手を振る。
「でも……ごめんなさいね。デリカシーがないの」
「いえいえ、本当に。その、お義母さん」
初めてそう呼んだ。お義母さんは「わあ」と目を輝かせる。
「嬉しい。娘がほしかったの」
そう言うなり、バッと立ち上がった。
「こうしちゃいられないわ」
「どうしたんです?」
「お買い物、行きましょう!」
ぽかんとする私の手を引き、お義母さんはニューヨークにある高級ブランドという高級ブランドを渡り歩いた。遠慮する私に続々と選ばされていくバッグや靴、洋服たち。
「志季子ちゃんスタイルいいからなんでも似合うわ~」
うっとりと言われながら、なんだか着せ替え人形になった気がする。
宗司さんのところにお見舞いに行くと、お腹を抱えて大爆笑された。
「はは、おふくろ、ついにタガが外れたな」
全身高級ブランドに着替えさせられた私を見て、宗司さんが肩を揺らす。
「ずっと志季子と買い物に行きたいと言っていたんだ」
「そういうわけだったんですね」
苦笑しながらサングラスを外す。宗司さんはそのサングラスを手に取り手で弄びながら笑う。
「まあ、嫌でなければ付き合ってやってくれ」
「嫌ではないですが、こんな高級なものをたくさん申し訳ないです」
「今度は俺としようか、お人形さんごっこ」
宗司さんはやる気満々といった様子だ。
私はううんと首を傾げた。
もしかしたら、いやかなり自信があるけど、宗司さんはきっとお義母さんに似たんだと思う。
ほわほわ成分がないだけで、やりたい方面に突き進むところがそっくりだ。
「というか、人をお人形にしないでください」
「じゃあ、お姫様」
そう言われ、片手で引き寄せられ、唇を重ねられる。ぬるりと入ってくる舌――慌てて両手で彼の胸を突き離す。
「だ、だめです」
「なにが?」
「え……っち、なことは」
宗司さんは「ふは」と噴き出し、楽しげに笑う。
「そこまでは考えてないけど」
「嘘ですね」
「まあ嘘だけど」
飄々と言う彼を軽く睨むと、宗司さんは大きく笑う。私もつられて笑い、なんだか泣きそうになった。幸せで、胸がいっぱいだったのだ。