天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】

※※※

「おめでとう~、志季子」

 亜香里が新婦控室に来てくれたのは披露宴前のことだった。亜香里だけじゃなくて高校の仲が良かった同級生勢ぞろいだ。

 みんな、私が入院中お見舞いに来て『よかったあああ』『意識ないって聞いて、ほんと怖かったんだよお』と大号泣してくれた大事な友達だ。

 とはいえ、なんとなく、ドレス姿を見せるのは気恥ずかしかった。だってプリンセスって柄じゃないし。
 でもみんな笑顔で、あるいは涙まで浮かべて口々に寿いでくれた。

「わ、志季子、ドレス綺麗っ」
「スタイルいいから、やっぱ似合うねえ。眼福~」
「に、似合うよう。ぐすっ、お幸せにねえっ」

 スマホのカメラを向けられ、次々に写真を撮られる。

「ありがとうー!」

 お礼を言いながら内心で苦笑する。“白雪姫”させてもらえなかったことを気にしてたのって、私だけだったのかも。案外あのときだって『お姫様したい』って口にすれば、あっさりと私の意見は通っていたんじゃないかな。

「それにしたって、本当に香月先生と結婚するなんて思ってもなかったけどね~。犬猿の仲って感じだったのに」

 亜香里の言葉に、同級生たちが「ええ?」と不思議そうにする。

「あの、志季子にめろめろな旦那さんが?」

 めろめろって、と笑いかけた私に、別の同級生が口を開く。

「そんなことないよねえ。あんな溺愛を隠しもしないのに。最初から口説かれてたんじゃない?」
「ああ、それで照れてツンツンしてたんだ、志季子。そうでしょ?」
「口説かれてないし、照れてもないわ」

 びっくりして答えると、亜香里以外のみんなが「嘘だー」と声をそろえる。

「なかなか言わないよ、結婚式で『俺より後に死んでくれ』。よっぽどだよ」
「溺愛通り越してるもの」
「そうそう」

 頷きあう同級生たちを見て、亜香里がにやりと頬を上げた。

「そういえばー、志季子」
「なあに?」
「噂によると、あなた意識取り戻したの、香月先生にキスされたからだって?」

 控室が一瞬シンとした。つかの間のあと、「ええええ⁉」「きゃあああ」という声が控室内に響く。
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