天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
「私が考えなしにゆーちゃんに着いて行ったから」
ぎゅっと膝で手を握りしめた。本当にたくさん迷惑をかけてしまった……。
「君は悪くないって何回言えばいいんだ? 違うんだ、そうじゃなくて」
彼は私の手をとり、自らの額に当てる。それはどこか、荘厳な儀式にも見えた。
薬指の銀の指輪が秋の陽を照らした。
「愛しているから、伝えたいだけなんだよ」
私は目を瞬き、それから彼の頭にキスをする。
私が彼を愛おしいと思う感情のひとかけらでも、愛情のほんのちょっとでも、彼に伝わりますようにと願いながら。
彼は立ち上がり、私の唇にキスを落とす。
そのたびに私は新しい自分になれる気がするんだ。
王子様のキスで、目を覚ましたお姫様みたいに――。
これが物語なら、きっとこの上ないハッピーエンドだ。
王子様のキスで、お姫様は目を覚ました。
なら、お姫様の物語らしく、ハッピーエンドで私の話を終わろうと思う。
そうしてふたりは末長く幸せにくらしましたとさ、なんて──私らしくないかな?
でもまあいっか、なんて思うのだ。
世界でいちばん大好きな人のお姫様でいられるのなら、それでいいかな。
秋の日が、いつまでもキラキラ、キラキラと世界を輝かせていた。
end


