天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
「とにかく、君に頼めないだろうか? 僕としては、君が適任だと思っている」
「まだ若輩者ですが……よろしいのでしょうか?」
「君が去年発表した論文、この症状に似た病気の治療法に関するものだっただろう?」
私はハッと顔を上げた。
「秘密とのことですが、論文にしてしまっていいのでしょうか」
この病気で論文が受理されれば、認定医に近づける。
「問題ないそうだ。本人も、症状が楽になるならなんでも試してくれと言ってくれている」
私はコクコク頷いた。医師として成長するチャンスが巡ってきたと感じるし、なにより、この患者を助けたい。
きっと辛いだろう。苦しいだろう。
少し寝違えただけで一日ブルーになるのに、それが全身になることすらあるのだ。
立ち上がるどころか、起き上がることすら相当の苦痛のはずだ。
それを……とカルテに目を落とす。治療前も開始直後も、数値的にはおそらくかなり症状が強く出ていた。にもかかわらず、患者は勤務を続けていたらしい。
とてつもない、強固な意志だ。
いったいどんな人なのだろう。