天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
患者との顔合わせは、病院の外で行われた。
というのも、病院内にさえ患者の正体は秘密だからだ。
事務長と看護師長だけは知っていて、さまざまな事務処理等を内密に済ませているらしい。
どうしても院内での処置が必要なときは、VIPルームのある特別階で行われると聞き、患者が政治家であるとの確信を強くした。
園岡教授に指定されたのは、都内外資系ホテルの高級中華レストランだった。
入り口で名前を告げると、夜景を見下ろすことのできる廊下を経て、個室に案内される。入るなり、目を丸くして一瞬固まった。
というのも。
「……吉武?」
相変わらず傲岸不遜な雰囲気でこちらを見たのは、円形のテーブルの前に座っていた香月先生だった。
鋭い端整なまなざしに、背の高い、がっしりとした体躯。
今日はびしっと決まった、三つ揃えのスーツ姿だった。
彫りの深い西洋風の顔立ちのせいだろう、見慣れないはずのスーツがしっくりと似合っていた。
その横には、院長でありグループの理事長でもある、香月先生のおじい様。
「あ、……内科の吉武です。本日は園岡教授のご紹介でこちらに参りました」
慌てて理事長に頭を下げる。それにしても、香月先生がどうしてここに……?