天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
「じいさん、ついに耄碌したか!」
「ええい、落ち着け、宗司。いいか、吉武先生に偽の婚約者になってもらうという提案だ」
「そんなことしてどうするんだ? 馬鹿らしい」
「一石二鳥の提案だぞ、宗司。そうすれば、遠縁連中がお前に押し付けてこようとするお見合い攻撃も止むし、それに……」
理事長はチラっと私を見て眉を下げた。
「吉武先生には、巻き込んで申し訳なく思う。ただ……これは理事長としてでも医師としてでもなく、いち祖父として頼みたい」
「偽装婚約を、ですか?」
「ああ。その……こいつと一緒に住んではもらえないだろうか」
「はあ⁉」
先に声を荒らげたのは香月先生だ。
「同居? 本当にどうしたんだ、じいさん」
「だから、落ち着けと……本当は好きだから過剰反応しているわけじゃないよな、宗司」
「そんなわけがあるか」
眉を吊り上げた香月先生は本気で嫌そう。いやもちろん、私だって願い下げだ。でも、どうして理事長はこんな提案を?
「吉武先生。宗司は、症状は薬でかなり抑えているとはいえ、救急医としての激務の中、勤務後発熱し、激痛に苦しむこともあるんだ。それがどうにも心配で」
私は眉を下げ、理事長の話を聞く。
香月先生も心配をかけている手前遮りづらいのか、無言でチラっと理事長に目線をやっただけだった。
「基本的にそういった症状は今現在対処療法しかなく……お察しします」
「そうなんだ。どうか、少しの間でいい。私的な時間を使わせて悪いとは思うが、住み込みでこいつの体調のサポートをお願いできないだろうか。偽装とはいえ婚約し病院側にも報告していれば、こいつといたり一緒に住んでいることが露見したとしても変な噂にはならないだろう」
「そういうことでしたか……」
まあ、婚約発表さえしていれば、結婚前に同棲するんだねくらいの扱いだろう。
もちろん、婚約なんてしばらくは騒がれるとは思うけれど、裏でヒソヒソされるよりはいいか。そういうの、あまり好きじゃない。
まあ、一番の目的はさっき言っていた“お見合い避け”だろう。セレブも色々あって大変だ。