天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
「よかった! しばらくの間、よろしくお願いしますね、香月先生」
にこっと笑うと、理事長もホッとした様子で香月先生を見て口を開く。
「はっは、このまま本当に婚約してしまってもいいくらいだ。こんな頼れる女性、宗司も惚れてしまうんじゃないか」
「理事長」
バシッと香月先生は理事長の冗談を遮り、今にも歯噛みしそうな顔で「いいか」と私に向かって言い放つ。
「一緒に暮らすからと言って、本当に婚約者になれると思うなよ」
「わかってますよ」
ややあきれ顔で返すと、香月先生は私を言い含めるように続ける。
「君を愛することなんて、百パーセントありえない。君みたいなガサツな女は嫌いなんだ」
香月先生の言葉に、思わず噴き出し、そのままお腹を抱えて笑ってしまった。
「ふふふっ、お互いさまですよ」
「それはそれでムカつくな」
「なんでですか、あはは」
ついに大きく笑いだした私は立ち上がり、香月先生に向かって右手を伸ばす。
「私の方こそ、先生は全くタイプではありませんので、ご心配なく!」
「……そりゃあ重畳」
先生は座ったまま、私の手を掴み握手を返す。
大きくて分厚い、男性の手のひらだった。