天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】

 業者を手配してくれると言ったけど、着替え程度だしほかに必要なものがあれば取りに帰るから、とトランクに着替えと本だけ詰め込み、電車に乗り込む。

 亜香里から借りた、長期旅行用の大きなトランクだ。本も結構詰めたから、ちょっとどころではなく重い。

 香月先生からスマホに送られてきたメッセージに記載されていた住所は、歴史ある高級住宅街の地名。その中でも、美術館や各国の大使館が立ち並ぶエリアだ。

しかも、書き方的に、マンションでなく一軒家。
ひとりぐらしだと聞いているのだけれど。

どんな家だろうとちょっとやじ馬根性が出てくる。後継者問題が解決し症状が落ち着くまでの期間限定だけれど、そんな高級なお宅に住めるなんてラッキーじゃない? なんて思っていた。でも、想定以上だった。

「うーん、見つからない」

 地図アプリ的に絶対この辺りなのに、この日本庭園がある美術館のお隣付近……とか思っていたら、その美術館だと思っていた邸宅が香月先生の家だった。こちらに向いている監視カメラになんとなく緊張する。

「……正直、高級すぎて逆に住みづらいわね」

 平屋建てのひと目で高級とわかる邸宅を見つめながら呟く。

 お庭だけで私の実家くらいある。

 
< 28 / 119 >

この作品をシェア

pagetop