天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
「急変するのがこの病気の特徴ですから。ご存じとは思いますが……毎日受けていただきますからね」
先生は肩をすくめ、部屋を出ていく。私は窓から庭をみつめ、飛んできた小鳥を眺めながら呟く。
「前途多難な気がするわ」
前髪をかき上げ、ソファに座り、高い天井を眺めた。
※※※
そんな扱いの私と、川上さんの想像する“溺愛されている私”との差に苦笑しながら、「それほどじゃないわ」とナースステーションで肩をすくめる。川上さんの目はキラキラしていた。
「だってあの香月先生の心を射止めるなんてすごすぎですよっ」
「あやしいけどねー」
亜香里が微かに目を細める。
「なんか、裏がありそうな予感がしているんだけど」
「裏なんてないわよ」
鋭い亜香里にビクっとしながら目を逸らす。亜香里は「ふうん」と唇を尖らせ、それから思い出したように微笑んだ。
「ま、いいけど。だとしたら、あたし、志季子のウエディングドレスが楽しみかも。高校の時、ドレス見れなかったから。絶対似合ったのに」
「ドレスですか?」
キョトンとした川上さんに、亜香里は説明する。
「あたしたち、女子校なの。文化祭で白雪姫をしたんだけど」
「へえ?」
「志季子、くじで白雪姫になったのよ~。あたしが王子で」
「ええっ。吉武先生、美人だから似合いそう!」
川上さんに言われ苦笑する。
「美人なんかじゃないわよ」
「先生は、謙遜が嫌味になるタイプですよお」
川上さんは頬を膨らませる。
「でも、クラスのみんな、反対したの」
「なんでです?」
「志季子には王子様してほしかったって」
「あー!」
川上さんはきゅうっと眉を寄せる。
「そっちも似合いそう……っ。背も高いしきりっと系美人だし」