天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
「あ、香月先生もサンマにされたんですね。旬ですものね」
先生は完全に無視をして、エプロンをして米を研ぐ。……エプロンだというのにやけに似合う。
先生はサンマを手早く下処理をしていく。思わず横からまな板を注視した。
「さすが先生、器用です」
「うるさいな」
綺麗に処理されていく内臓。美味しいのに……。
「先生って、サンマの内臓嫌いなタイプなんですね。苦いからですか」
先生は無言だった。私はちょっと笑ってしまう。
「意外に子供舌なんですか」
「君の焦げ魚が冷めていくがいいのか」
淡々と言われ、慌てて席につく。
「先生、パウチの大根おろし使われます?」
「遠慮する」
香月先生はサンマを焼いている間に大根をおろし、副菜とお味噌汁を作っていく。それを見てさすがに呟きを漏らした。
「手際がいい……」
「頭を使えばできるだろう」
「そうですか」
せっかく褒めたのにこの言いよう。
皮肉でしか返せないのかしら、とぶつぶつ言いながら「いただきます」と手を合わせた。
まずはちょっと……そう、ほんのちょっと人様が作るものより焦げてしまったサンマに箸をのばす。
皮こそ焦げ目が目立つけれど、ほろっとした身はほくほくとしてとても美味しそう。
「わー、サンマ、美味しい。焦げてても美味しい」
私は素直に目を丸くした。高級サンマ、すっごく美味しい……! そのままパクパクとサンマとご飯を食べ終わる。
「ああ、美味しかった。ごちそうさまでした」
満足してお茶を飲む私の向かいに、香月先生が椅子を引いて座る。彼の前には定食屋さんのサンマ定食と見まがわんばかりの料理が並んでいる。