天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
「おいしそう」
思わず漏らすと、香月先生は目を細めこちらを見た。
……ドヤ顔してる。
「ちょっと、その顔はなんなんですか。小さい男ね」
「ふん」
香月先生は満足げに笑い、上品な箸使いでサンマを食べる。ドヤ顔でサンマを見せつけながら食べる香月先生に、私はちょっとムカつきつつも、内心で安堵していた。
食べられるのは、体調がいい証拠だ。
これがまたドリンク剤とかになってきたら気をつけないと……。
いや、ここまで任されているのだ。そうなる前に対処しなくては。
私は医者だ。
そして、彼も医者だ。
私が彼を助けることは、彼によって助けられる人の数が増えるということ。
これは、誇り高い仕事だ。
「なんだジロジロ見て。やらんぞ」
私がしみじみしているというのに、香月先生は心底嫌そうに鼻に皺を寄せた。
結構久しぶりに「あっかんべー」をしたくなる。実行しなかったのは、私の人間力の高さゆえに他ならない。全く、感謝してほしい。
「ところで、この家って先生の持ち家ですか?」
まあ、香月家のものだろうことは予測がつくのだけれど。
「いや、祖父の家だ。祖母が亡くなるまでは住んでいたんだが、今は駅直結のマンションに引っ越した。脚があまりよくないから、なにかとアクセスがいいほうが便利らしい」
「ああ、なるほど。お祖父様と同居とかは考えにならなかったのですか?」
「俺がなにかと不規則だからな。あまり祖父のペースを乱させたくない」
なるほど、と頷く。俺様なようで、案外色々考えている人だ。