天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】

「ええ、香月先生って結構甘えるタイプなんですか」

 同僚が笑いながら俺たちをからかう。うん、悪くないな、こういうの。

「そうなんだ。家ではずっとこんなかんじ」
「う、嘘です、嘘ですよ。もう、本気にされたらどうするんですか」

 慌てる彼女から身体を離し、片手で頬を軽くむにっとつかみ、ヒヨコみたいにして笑う。

「ぴいぴいうるさくて可愛いだろう」
「だ、だからそれやめてくださいって」
「へー。いつもそんなふうにいちゃついてるんですね」

 同僚に言われ、手を放しながら笑う俺と、唇をさらに尖らせる志季子。

「噂以上に仲がいいですね。ご結婚、いつでしたっけ」
「今日」

 俺が答えると、同僚が「ええっ?」と本気で驚く。慌てたように志季子が「嘘です、嘘」と手を振った。

「はは、冗談ですか」
「半分本気なんだけどな。志季子がなかなか」
「そりゃそうですよ。女性はなにかと準備が必要ですし、籍を入れるだけにしたって写真とりたいとか、記念になる日にしたいとか、色々あるでしょう。まあ僕独身なんでよくわかんないですけど」
「そういうもん?」

 志季子に聞くと、彼女は店員からコーヒーを受け取りながら眉を下げる。

「ま、まあ……一般的には、そういう傾向はあるかもしれません」

 しぶしぶ答えた彼女を見て、同僚は納得したように「やっぱりそうですよね」と頷き、俺は笑う。
 志季子は目を丸くして俺を見ている。ようやく気が付いたか、とほくそ笑んだ。
 俺と君がラブラブだって噂を流して、まずは外堀から潰してやる。
 逃げられると思うなよ。
 それにしたって、“ラブラブ”なんて単語を俺が使う日がくるとはね。
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