天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
「ふ、う……っ」
キスの合間になんとか呼吸を整えようとするも、うまくいかない。整う前に再び重ねられ、蹂躙されていく口内。粘膜を擦り上げられ、歯肉に舌先をこすり付けられ、頭の中がふわふわしてくる。
抵抗できない官能に、身体から力が抜けていく。
目が覚めると、朝だった。
ベッドでひとり……横には誰もいない。
がばりと起き上がる。身体はとてもさっぱりしていて、おそらく宗司さんが清めてくれたのだと思う。
「眩しい……」
寝返りを打とうとして、身体の強張りに気が付く。……私、初めてだったのに、あんなことやこんなことや、あまつさえあんなおねだりまで……!
恥ずかしくて頭を抱えていると、がちゃりとドアが開き宗司さんが入ってきた。
「どうした、百面相なんかして」
「きゃあっ、ちょ、待ってください。服を着ていないので」
慌てて布団で身体を隠すと、宗司さんはケタケタと笑った。
「裸どころか、あんなところまで見たんだ。今更だろ」
「ひ、ひどい……っ」
涙目で彼を睨むと、彼は笑いながら手にしたものを掲げた。
「君の鞄、車に置きっぱなしだった。どこに置いておく?」
「あ、すみません……」
取ってきてくれたのか。……と、そうだ、思い出した!
「すみません、それください」
宗司さんが不思議そうに鞄を渡す。私はそこから学術雑誌を取り出す――昨日張り付けた付箋のページを開き、彼に見せつけ、笑う。
「宗司さん、一緒にアメリカに行きませんか」
「……は?」
彼はとてもポカンとした。
でも、千載一遇のチャンスなんだ、絶対に説得してみせる。