天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
大股でスタスタと歩きガレージを出て、そのまま庭に入り飛び石の上を歩く。品のある明かりで照らされた幽玄の日本庭園が、なんだか現実じゃないみたいに見える。
「宗司さん」
「いや、大したことじゃないよ」
「ええ?」
眉を寄せ、宗司さんの顔を見る。宗司さんはにやりと笑う。
「俺がいまめちゃくちゃ調子いいって教えてやろうと思って」
「いやまあ、こんなことするくらいだから元気なんでしょうけれど」
担がれて運ばれながら文句を言うも、彼はケタケタと笑うだけ。家に入っても下ろしてもらえない。
「宗司さん、靴、私履いたままです」
「いいのに」
ため息をつきながら、彼は私を横抱きにして上がりかまちに座る。そうして無造作に私の足に触れた。
「く、くすぐったいですっ」
「わかったわかった」
なにが「わかった」なのかわからないまま、パンプスを脱がされる。
くすぐったさに耐えかね身体をよじらせた私を抱きしめ、彼は額にキスを落とす。
宝物みたいに。
キュンとしてしまった私の足を、彼がすうっとストッキング越しに撫でる。ぞくぞくとした感覚に思わず小さく声を上げた。その手が膝裏を通り、太ももに触れる。
「ちょ、そ、宗司さん」
「んー?」
宗司さんはいつもより甘い声でそう返事をして、私の顔じゅうにキスを落としながら低く楽しげに笑い、私を抱いて立ち上がる。
さすがにここまで来ると、彼の目的もわかる。
私に抵抗する気がないことも、きっとお見通しだ。抵抗どころか、彼のことを望んでいることも……。
そのまま彼は長い廊下を歩く。しんと冷えた静かな空間に、私の鼓動がうるさく響いているんじゃないかとさえ思った。
頬どころか、耳まで熱い。
窓越しに見える静かな庭が、とてもきれいに見えた。
宗司さんは私の部屋の前を通り過ぎ、自分の部屋に入る。そうしてベッドに私を横たえ、のしかかる。
私を見下ろす、端整なかんばせは、とても真剣で、まっすぐで、今から淫らなことをしようとしているように見えなかった。
それくらい彼は、真摯だった。
胸が突きあげられるような強い感情に襲われ、どうしたらいいのかわからず横を向く。
すぐさま顎を掴まれ上を向かされる。
「目を離すな」
耳に心地よいテノールが、微かに掠れている。
ぞくりとお腹の中で何かが蕩ける。
命令されるのなんか、好きじゃない。
なのに彼から目を離せない。
言われた通りに瞳を見つめる。
ああ、いまにも吸い込まれそう。
ゆっくりと唇が重なり、舌が割入ってくる。
そのままこすり合わされるように舌を重ね合わされ、同時に彼の大きな手が私の身体の上をなぞる。触れられたところが、激しく熱を孕んでいく。