天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
「我慢しているのが一番ストレスだった」
「……つまり、宗司さんの今までのストレスによる発作の原因は、後継争いの重圧でも、相手からのプレッシャーでもなく?」
「ああ、さっさと追い出せるのにタイミング待たないといけないストレス。やっぱやりたいようにやるのが一番だよな!」
にこっと笑うと、志季子は複雑そうな顔で味噌汁をすすった。まったく、可愛いお姫様だな。
そんなお姫様は「あれ」と眉を軽く上げる。
「どうした?」
「ああ、いえ……ふと思ったんですけど、池崎先生だったのかなって」
「だから何が」
「いえそれが……なんだか、調べられていたようなんです、私のこと」
「……は?」
首を傾げた俺に、志季子は恐ろしいことをサラっと告げた。
「机の中が荒らされてたり、帰るとき後を着けられてたり。ここ一か月くらいでしょうか」
「早く言え」
俺は乱暴に茶碗を机に置いた。
「なんで今言う」
「いやだって、佐内教授にしろ池崎先生にしろ、どっちにしろ池崎派が私を調べているんだろうなってことは予測着くじゃないですか」
淡々と志季子は続ける。
「私を調べたって、宗司さんの弱みはなんにも出てきません。宗司さんの治療に関するカルテなんかは厳重管理されて私のデスクなんかにないし、PCからも閲覧不可だし」
「君自体が俺の弱みなんだ、自覚してくれ」
声が弱弱しい響きをまとう。それくらい志季子が大事なんだ。
彼女はハッとして、それからシュンと頭を下げた。
「す、すみません」
「本当に警備員つけるからな」
「それはちょっと、どうでしょう」
志季子は眉を下げる。結局、次になにかあったら必ず報告すると約束した。
「そういえば、ゆーちゃんなんですが」
「君な。本当に気楽に鴻上の名前を出すのはやめてくれ」
「……鴻上先生なのですが。宗司さん支持に回ると明言してくれました。もともとまっすぐで正義感ある人なので、池上先生のボロが出たらすぐさま撤回してたんです」
「まあ、泥船だもんな」
「そういう問題じゃなくて」
幼馴染に信頼があるらしい志季子はむっと唇を尖らせた。可愛い。可愛いけど、他の男の味方をしているのを見るのは、正直ムカつくんだよなあ……。