ハル
到着
「真子、本当に大丈夫なの?」
大きなキャリーバッグをゴロゴロと音を立てながら引きずって玄関へと向かう私の背中にお母さんの声が聞こえてくる。
亡くなった祖父の家にひとりで行くと決めた一瞬間ほど前から毎日毎日耳にタコができるほど聞かれてきた言葉にうんざりして、返事もまともにしなかった。
「到着したら連絡してくるんだぞ?」
こっちはお父さんの声だ。
ふたりとも今日は仕事があるというのに、まだ家を出ていない。
私は大げさなため息と共に玄関前で立ち止まり、振り向いた。
思っていた通り、心配そうな表情を浮かべたふたりがこちらを見ている。
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