ハル
お母さんの化粧は中途半端だし、お父さんのシャツは第一ボタンが外れたままで、紺色のネクタイもちゃんと締められていない。
私が出かける時間になったから、自分の準備をほっぽりだしてきたのは明白だった。
「あのねぇふたりとも。私はもう子供じゃないの。電車の乗り継ぎくらい平気だから」
強い口調で突き放すように伝えても、ふたりの不安顔は変わらない。
「それでもおじいちゃんの家は遠いんだぞ。最寄り駅で下りてからもタクシーとかバスとか――」
「それも何度も聞いたから!」
お父さんの言葉を途中で遮り、スマホで時間を確認した。
電車の時間はまだ余裕があるけれど、ふたりの出勤時間までは残り5分を切っている。
私が出かける時間になったから、自分の準備をほっぽりだしてきたのは明白だった。
「あのねぇふたりとも。私はもう子供じゃないの。電車の乗り継ぎくらい平気だから」
強い口調で突き放すように伝えても、ふたりの不安顔は変わらない。
「それでもおじいちゃんの家は遠いんだぞ。最寄り駅で下りてからもタクシーとかバスとか――」
「それも何度も聞いたから!」
お父さんの言葉を途中で遮り、スマホで時間を確認した。
電車の時間はまだ余裕があるけれど、ふたりの出勤時間までは残り5分を切っている。