ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
いやいやなに考えてんの、あの上司。親が親なら子も子だよ。
そんな話はまったく聞いていない。自席で平然とパソコンに向かう沓澤代理の澄まし顔を思い出し、ふつふつと苛立ちが湧き起こる。
「社長。お言葉ですが、そのような重要なお仕事には、事務の私よりもふさわしい人材があるはずです」
冷静に、冷静に。今回ばかりは丸め込まれていられない。
通常業務も中途半端だ。午後からフリーに動いていいと言われたところで、私の仕事が減るわけではない。
すっと目を細めて「ほう?」と言われ、怯んでしまう。けれどここで引いてはいられない。今にも折れそうな心を奮い立たせ、私はひと息にまくし立てる。
「私は沓澤代理からこの件についてなにも伺っておりませんし、営業課から誰かをということであれば、勤続年数から考えても三浦さんに頼まれてはどうでしょうか。若手なら、私より遠田さんや岡さんのほうが適役かと」
「うーん、そうかぁ。でも困ったなぁ、もう先方にも連絡してあるんだよー」
眩暈がした。
せめて了承を取ってからにしてください、という叫びはとうとう声にはできなかった。
そんな話はまったく聞いていない。自席で平然とパソコンに向かう沓澤代理の澄まし顔を思い出し、ふつふつと苛立ちが湧き起こる。
「社長。お言葉ですが、そのような重要なお仕事には、事務の私よりもふさわしい人材があるはずです」
冷静に、冷静に。今回ばかりは丸め込まれていられない。
通常業務も中途半端だ。午後からフリーに動いていいと言われたところで、私の仕事が減るわけではない。
すっと目を細めて「ほう?」と言われ、怯んでしまう。けれどここで引いてはいられない。今にも折れそうな心を奮い立たせ、私はひと息にまくし立てる。
「私は沓澤代理からこの件についてなにも伺っておりませんし、営業課から誰かをということであれば、勤続年数から考えても三浦さんに頼まれてはどうでしょうか。若手なら、私より遠田さんや岡さんのほうが適役かと」
「うーん、そうかぁ。でも困ったなぁ、もう先方にも連絡してあるんだよー」
眩暈がした。
せめて了承を取ってからにしてください、という叫びはとうとう声にはできなかった。