ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
立ったまま目が合う。向こうの反応を見るよりも前に、私は笑った。普通に、普通にと念じながら、無理やり彼のほうへ足を動かしていって、そして。
「昇進、おめでとうございます」
「……ありがとう」
ぎこちない言い方にはならなかったはずだと、自分で自分に言い聞かせる。
頭を下げた後、早々に席へ戻った。普段通りにノートパソコンを立ち上げ、それがのそのそと起動を終えた頃には人だかりはすっかり捌けていて、なぜかほっとする。
その矢先、社内メールの着信に気づいた。
送信者は沓澤代理だ。
『話がしたい』
忙しなく動かしていた指がひたりと止まる。
突然の辞令発表となった彼の席は、いまだに私の向かいだ。席へ戻ったばかりの彼が、正面に座る私に平然とこんなメールを送ってきている。眩暈がしそうになった。
「昇進、おめでとうございます」
「……ありがとう」
ぎこちない言い方にはならなかったはずだと、自分で自分に言い聞かせる。
頭を下げた後、早々に席へ戻った。普段通りにノートパソコンを立ち上げ、それがのそのそと起動を終えた頃には人だかりはすっかり捌けていて、なぜかほっとする。
その矢先、社内メールの着信に気づいた。
送信者は沓澤代理だ。
『話がしたい』
忙しなく動かしていた指がひたりと止まる。
突然の辞令発表となった彼の席は、いまだに私の向かいだ。席へ戻ったばかりの彼が、正面に座る私に平然とこんなメールを送ってきている。眩暈がしそうになった。