ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
*
帰宅時、早々に彼に捕獲されてしまった。
そこで挨拶を交わして別れるという場所に着いても、沓澤代理は私から離れなかった。それどころか強引に私の腕を掴んできた。
そんな彼が向かった先は、従業員用の駐車スペースだ。
「今日は車で来た。あんたと話したかったから」
「は、はぁ。話なら車の中でなくてもできるのでは」
「いや。ちゃんと閉じ込めとかないと、あんたすぐ逃げるだろ」
物騒な言い方に、頬が派手に引きつる。
結局、助手席に押し込められてしまった。昨晩、自宅へ送ってもらったときの重苦しい空気が瞬時に脳裏へ蘇り、またも顔が強張る。
間を置かず運転席へ乗り込んだ沓澤代理は、ご丁寧にロックまでかけた。
そこまでしなくても逃げませんから、と言ってやろうと思って、けれど今日ばかりはそんな気力なんて湧きそうにない。
「それで、お話というのは」
「いろいろ。昇進とか出張とかの話と……あと、昨日のことも」
沓澤代理の声は平坦で、嫌でも昨日の別れ際を思い出してしまう。
今日の私は取り繕えるだろうか。なにを言われても、昨日のように平坦に返せるだろうか。
帰宅時、早々に彼に捕獲されてしまった。
そこで挨拶を交わして別れるという場所に着いても、沓澤代理は私から離れなかった。それどころか強引に私の腕を掴んできた。
そんな彼が向かった先は、従業員用の駐車スペースだ。
「今日は車で来た。あんたと話したかったから」
「は、はぁ。話なら車の中でなくてもできるのでは」
「いや。ちゃんと閉じ込めとかないと、あんたすぐ逃げるだろ」
物騒な言い方に、頬が派手に引きつる。
結局、助手席に押し込められてしまった。昨晩、自宅へ送ってもらったときの重苦しい空気が瞬時に脳裏へ蘇り、またも顔が強張る。
間を置かず運転席へ乗り込んだ沓澤代理は、ご丁寧にロックまでかけた。
そこまでしなくても逃げませんから、と言ってやろうと思って、けれど今日ばかりはそんな気力なんて湧きそうにない。
「それで、お話というのは」
「いろいろ。昇進とか出張とかの話と……あと、昨日のことも」
沓澤代理の声は平坦で、嫌でも昨日の別れ際を思い出してしまう。
今日の私は取り繕えるだろうか。なにを言われても、昨日のように平坦に返せるだろうか。