ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
元気な上に、中学時代から逞しかった妄想癖も健在だ。
鈴香の中でめくるめく妄想が膨らみきってしまう前に、その芽を容赦なく摘み取っておく。やり取りが面白かったのか、斜め後ろ辺りから沓澤課長の忍び笑いが聞こえたものの、そちらにもあえて今は触れない。
「ちょっとちょっとなに~、詳しく聞きたいんだけど!? アッこちらにどうぞ~、ご注文がお決まりになりましたらお呼びくださーい!」
テーブル席へ案内すると同時にお冷やを用意しに向かった鈴香の後ろ姿は、妙に浮足立って見えた。
別の店にすれば良かったかもしれない。でも、この辺で食事といわれたらここのジューシーなとんかつ以外に思い浮かばなかったし、仕方がない。
食い気味の鈴香の反応に、もしかしたら面食らっているだろうか。テーブル席に腰かけてすぐ、正面の沓澤課長の顔色を窺ってみたけれど、彼は予想に反して楽しそうに店内をぐるりと眺めていて、私のほうこそ面食らいそうになる。
「いいなぁこういう店、懐かしい感じする。店員さんもめっちゃ元気だし」
「ですよね。ちなみに中学の頃はあの子のほうがモテてましたからね」
「女子に?」
「そう、女子に」
ついに忍び笑いでは堪えきれなくなったのか、沓澤課長は声をあげて笑い出した。
鈴香の中でめくるめく妄想が膨らみきってしまう前に、その芽を容赦なく摘み取っておく。やり取りが面白かったのか、斜め後ろ辺りから沓澤課長の忍び笑いが聞こえたものの、そちらにもあえて今は触れない。
「ちょっとちょっとなに~、詳しく聞きたいんだけど!? アッこちらにどうぞ~、ご注文がお決まりになりましたらお呼びくださーい!」
テーブル席へ案内すると同時にお冷やを用意しに向かった鈴香の後ろ姿は、妙に浮足立って見えた。
別の店にすれば良かったかもしれない。でも、この辺で食事といわれたらここのジューシーなとんかつ以外に思い浮かばなかったし、仕方がない。
食い気味の鈴香の反応に、もしかしたら面食らっているだろうか。テーブル席に腰かけてすぐ、正面の沓澤課長の顔色を窺ってみたけれど、彼は予想に反して楽しそうに店内をぐるりと眺めていて、私のほうこそ面食らいそうになる。
「いいなぁこういう店、懐かしい感じする。店員さんもめっちゃ元気だし」
「ですよね。ちなみに中学の頃はあの子のほうがモテてましたからね」
「女子に?」
「そう、女子に」
ついに忍び笑いでは堪えきれなくなったのか、沓澤課長は声をあげて笑い出した。