ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
困惑一色だ。
私がもっと効率的に業務をこなせば、増員は必要ない。かといって、ならばすぐに効率を上げられるのかと問われれば簡単には頷けなかった。
増員してもらえるなら素直に嬉しい。でも、沓澤課長とふたりで残業するという状況がなくなってしまうのかと思うと、胸が苦しくなる。
不埒な理由で勝手に息苦しくなっている自分が馬鹿みたいだ。
「やっぱり多いな。新店舗関連の事務処理、ほとんど全部が那須野の負担になってる」
溜息交じりにそう零す沓澤課長の声は、普段よりも少し低い。課題を眼前にしているときの声だ。はい、と返事をしながらも、頭は声ばかり追ってしまう。
業務に集中できない自分が情けなくて、またそれを見破れない彼ではないだろうとも思う。ふたりきりという状況に感じる甘さと、不埒な自分を見破られるかもしれない不安。真逆の心境に揺れる私は、途端にどうしたらいいのか分からなくなる。
「よし、これで終わりだな。……どうした?」
「っ、なんでもないです。すみません」
浮かれた気持ちと自分をたしなめる気持ちとがひしめき合う。
バレるのは時間の問題だ。でも。
私がもっと効率的に業務をこなせば、増員は必要ない。かといって、ならばすぐに効率を上げられるのかと問われれば簡単には頷けなかった。
増員してもらえるなら素直に嬉しい。でも、沓澤課長とふたりで残業するという状況がなくなってしまうのかと思うと、胸が苦しくなる。
不埒な理由で勝手に息苦しくなっている自分が馬鹿みたいだ。
「やっぱり多いな。新店舗関連の事務処理、ほとんど全部が那須野の負担になってる」
溜息交じりにそう零す沓澤課長の声は、普段よりも少し低い。課題を眼前にしているときの声だ。はい、と返事をしながらも、頭は声ばかり追ってしまう。
業務に集中できない自分が情けなくて、またそれを見破れない彼ではないだろうとも思う。ふたりきりという状況に感じる甘さと、不埒な自分を見破られるかもしれない不安。真逆の心境に揺れる私は、途端にどうしたらいいのか分からなくなる。
「よし、これで終わりだな。……どうした?」
「っ、なんでもないです。すみません」
浮かれた気持ちと自分をたしなめる気持ちとがひしめき合う。
バレるのは時間の問題だ。でも。