ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
 荒んだ気分で、日々、漫然とその日の業務をこなすのみ。
 だいたい、職場は仕事をするための場所で、私が巻き込まれた一連こそ異常だった。それなのに、やっとのことで取り戻した元の平穏な生活は、嘘かと思えるほどに味気ない。

 沓澤課長は、新しい噂を耳にしただろうか。

 決別からたった一週間で社内をくまなく巡った私たちの破局の噂は、早くも収束に向かっているらしい。
 浸透、収束、それぞれの速度を考えるなら、沓澤課長自身が直接噂に関与した可能性もゼロではなさそうだ。

 とうとう愛想を尽かされたかなと思う。
 もう涙も出ない。ただただ、全身の至るところにヘドロじみた疲れが貼りついている。

 そんな感覚が、べっとりと残っているだけ。
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