ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
どこかに移動しよう、という話になっては堪らない。
手短に済ませてほしいという願いが、直球で口をついて出た。
「ちょっとなら。ここでこのまま、いい?」
問う自分の声は、我ながら警戒心に満ちた不穏なものだった。
用件だけをかいつまんで話せと言わんばかりの、礼儀を欠いた私の態度に、雄平は一瞬怯んだ顔をした。
それも仕方ない。付き合っていた頃、私は雄平に対してこれほど粗雑な反応を一度もしたことがなかったから。
それでも雄平は頷いた。
顔を上げた彼と目が合ってしまわないよう、私はわずかに目線を下げる。ネクタイの結び目辺りをぼうっと見つめていると、彼は意を決した様子で口を開いた。
「沓澤さんとの噂って本当だったの?」
「別に。噂が勝手に広まっただけ」
「そうか。なら、俺とやり直してくれないかな」
都合のいいことを言ってる自覚はある。
けど、別れて初めて気づいた。
やっぱり、俺は、ゆずが。
相手は真面目に話しているのだと思う。
けれど、私の耳にはひどく薄っぺらに聞こえ、頭を抱えそうになる。
手短に済ませてほしいという願いが、直球で口をついて出た。
「ちょっとなら。ここでこのまま、いい?」
問う自分の声は、我ながら警戒心に満ちた不穏なものだった。
用件だけをかいつまんで話せと言わんばかりの、礼儀を欠いた私の態度に、雄平は一瞬怯んだ顔をした。
それも仕方ない。付き合っていた頃、私は雄平に対してこれほど粗雑な反応を一度もしたことがなかったから。
それでも雄平は頷いた。
顔を上げた彼と目が合ってしまわないよう、私はわずかに目線を下げる。ネクタイの結び目辺りをぼうっと見つめていると、彼は意を決した様子で口を開いた。
「沓澤さんとの噂って本当だったの?」
「別に。噂が勝手に広まっただけ」
「そうか。なら、俺とやり直してくれないかな」
都合のいいことを言ってる自覚はある。
けど、別れて初めて気づいた。
やっぱり、俺は、ゆずが。
相手は真面目に話しているのだと思う。
けれど、私の耳にはひどく薄っぺらに聞こえ、頭を抱えそうになる。