ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「会いたい」
……開口一番それだなんて、いくらなんでも。
車道を忙しなく通り過ぎていく救急車の音が、途中から節を変えて聞こえ、場違いにも笑ってしまいそうになる。
結局それがすべてだ。
堪えに堪えた思いが、堰き止めきれなくなったそれが、奔流となって溢れ出す。それこそが私の本心であり、すべて。
通話は途切れなかった。端末越しにバタバタと走っている音が聞こえる。
端末を握る手が震え、これ以上立っていられる気がしなくなって、その場にしゃがみ込みそうになった、そのとき。
「那須野!」
電話越しとは異なる確かな肉声が背後から聞こえ、反射的に振り返る。
弾みでぼたりと涙が零れ、なのにそれに気を払う余裕はこれっぽっちもなかった。
「あ……」
距離はそれなりに開いているはずが、乱れた呼吸は妙に近くから聞こえてくる。
睨むように私を見つめる沓澤課長と目が合った。
……開口一番それだなんて、いくらなんでも。
車道を忙しなく通り過ぎていく救急車の音が、途中から節を変えて聞こえ、場違いにも笑ってしまいそうになる。
結局それがすべてだ。
堪えに堪えた思いが、堰き止めきれなくなったそれが、奔流となって溢れ出す。それこそが私の本心であり、すべて。
通話は途切れなかった。端末越しにバタバタと走っている音が聞こえる。
端末を握る手が震え、これ以上立っていられる気がしなくなって、その場にしゃがみ込みそうになった、そのとき。
「那須野!」
電話越しとは異なる確かな肉声が背後から聞こえ、反射的に振り返る。
弾みでぼたりと涙が零れ、なのにそれに気を払う余裕はこれっぽっちもなかった。
「あ……」
距離はそれなりに開いているはずが、乱れた呼吸は妙に近くから聞こえてくる。
睨むように私を見つめる沓澤課長と目が合った。