ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「さっき親父……いや、社長からあんたが来るって連絡入って、そのすぐ後にあんたからメッセージ入ったからぶっちゃけ寿命縮んだわ……」
「も、申し訳ありません。いくらなんでも急すぎましたよね、メッセージ」
「いや、別にあんたのせいってわけじゃ……マジでなに考えてんだあのおっさん」
開いた玄関のドアに寄りかかったまま、沓澤代理はファイルを持つそれとは逆の手で額を押さえた。
見慣れたスーツ姿ではないからか、寝癖に眼鏡という普段とはまるで違う格好だからか、気を抜くと別人に見える。ついでに言うなら実年齢より幼くも見える。
ついうっかり余計なことを口走ってしまいそうだ。そんな自分が怖かったし、信用も置けなかったから、私は早々に頭を下げる。
「で、ではお休みのところ失礼しました。私はこれで」
「ああはい、わざわざご苦労さん……ゴフッゴホゴホっ」
返事を聞きつつ踵を返したそのとき、乾いた咳が聞こえてぎくりとする。
咄嗟に振り返ってしまう。声が掠れているとさっきも思ったけれど、もしかして今日の欠勤はそれが理由なのか。
「大丈夫ですか? 今日の欠勤、体調不良って」
「あー、うん。風邪」
「も、申し訳ありません。いくらなんでも急すぎましたよね、メッセージ」
「いや、別にあんたのせいってわけじゃ……マジでなに考えてんだあのおっさん」
開いた玄関のドアに寄りかかったまま、沓澤代理はファイルを持つそれとは逆の手で額を押さえた。
見慣れたスーツ姿ではないからか、寝癖に眼鏡という普段とはまるで違う格好だからか、気を抜くと別人に見える。ついでに言うなら実年齢より幼くも見える。
ついうっかり余計なことを口走ってしまいそうだ。そんな自分が怖かったし、信用も置けなかったから、私は早々に頭を下げる。
「で、ではお休みのところ失礼しました。私はこれで」
「ああはい、わざわざご苦労さん……ゴフッゴホゴホっ」
返事を聞きつつ踵を返したそのとき、乾いた咳が聞こえてぎくりとする。
咄嗟に振り返ってしまう。声が掠れているとさっきも思ったけれど、もしかして今日の欠勤はそれが理由なのか。
「大丈夫ですか? 今日の欠勤、体調不良って」
「あー、うん。風邪」