ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「あ、はい。出しましょうか」
「マジかよ、冗談で振ったのにそんな普通な感じで出てくんの? うわ、また三本出てきたウケる……」
大きな手のひらを口元に当てて笑いを堪える沓澤代理を薄く睨みつけると、彼は「悪い悪い」と、少しも悪いと思っていなそうな声で謝罪してきた。
そしてパソコンの手前に並べた缶を順に眺め、うーん、と迷うような声をあげる。
「今日はパインと巨峰と柚子はちみつか。柚子はちみつ、いっつもあるけどレギュラーなの?」
「いえ、その……沓澤さん、まだ喉つらいかなって思って」
「え?」
「そ、そのためだけってわけじゃないですけど」
「……ふうん」
ぽろりと零れてしまった本音を慌てて取り繕いながら、書類を届けたときに食事の話を振ったことを思い出す。
あのとき、確かに壁を感じた。余計なお世話。出すぎた真似。そういうものは彼にとって不要で、だから今の私の発言は多分まずい。
それを察したから、あのときはそれ以上食い下がらなかった。すぐ引いて、余計なことを言ってしまったなと反省して……あのときと同じ薄ら寒さを感じる。
でも、今の沓澤代理はなぜか楽しそうだ。
自分が妙な気を回しすぎているのではと訝しくなってくるくらいに楽しそうで、拍子抜けしてしまう。
「マジかよ、冗談で振ったのにそんな普通な感じで出てくんの? うわ、また三本出てきたウケる……」
大きな手のひらを口元に当てて笑いを堪える沓澤代理を薄く睨みつけると、彼は「悪い悪い」と、少しも悪いと思っていなそうな声で謝罪してきた。
そしてパソコンの手前に並べた缶を順に眺め、うーん、と迷うような声をあげる。
「今日はパインと巨峰と柚子はちみつか。柚子はちみつ、いっつもあるけどレギュラーなの?」
「いえ、その……沓澤さん、まだ喉つらいかなって思って」
「え?」
「そ、そのためだけってわけじゃないですけど」
「……ふうん」
ぽろりと零れてしまった本音を慌てて取り繕いながら、書類を届けたときに食事の話を振ったことを思い出す。
あのとき、確かに壁を感じた。余計なお世話。出すぎた真似。そういうものは彼にとって不要で、だから今の私の発言は多分まずい。
それを察したから、あのときはそれ以上食い下がらなかった。すぐ引いて、余計なことを言ってしまったなと反省して……あのときと同じ薄ら寒さを感じる。
でも、今の沓澤代理はなぜか楽しそうだ。
自分が妙な気を回しすぎているのではと訝しくなってくるくらいに楽しそうで、拍子抜けしてしまう。