ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「遠田も岡も、途中からは言いたいことも言えない感じになってた。あんたも最初からあの中にいたらああなってたんじゃないか?」
「……そう、かもしれません」
「だから。まさか自分より若い奴が常務の案に賛成するとは思ってなかったんだろ。あいつ最近、他が見えなくなってたっぽいからちょうど良かった」
最後の言葉と同時に彼は顔を上げ、目が合う。
彼の顔に浮かんでいるのは、普段の薄い笑みとは違った。不覚にもどきりとして、すぐにそれを掻き消しながら、私は「ありがとうございます」とお礼を告げる。
それにしても、本当によく見ている。感心してしまう。
以前にも同じことを思った……いや、いつも思っている。部下にせよ同僚にせよ上司にせよ、相手を見る目があるという特技は、仕事の能率に直結しているのかもしれない。
プリンターの動く音がする。
印刷された日報の作成者欄に押印し、続いて確認欄に沓澤代理が判を押す。
「昔のままやってたら、今頃この会社の社員は半分も残ってないだろうな。そもそもここまで増やせてなかった」
「……そうかもしれないですね。ネット販売の件を考えれば」
「……そう、かもしれません」
「だから。まさか自分より若い奴が常務の案に賛成するとは思ってなかったんだろ。あいつ最近、他が見えなくなってたっぽいからちょうど良かった」
最後の言葉と同時に彼は顔を上げ、目が合う。
彼の顔に浮かんでいるのは、普段の薄い笑みとは違った。不覚にもどきりとして、すぐにそれを掻き消しながら、私は「ありがとうございます」とお礼を告げる。
それにしても、本当によく見ている。感心してしまう。
以前にも同じことを思った……いや、いつも思っている。部下にせよ同僚にせよ上司にせよ、相手を見る目があるという特技は、仕事の能率に直結しているのかもしれない。
プリンターの動く音がする。
印刷された日報の作成者欄に押印し、続いて確認欄に沓澤代理が判を押す。
「昔のままやってたら、今頃この会社の社員は半分も残ってないだろうな。そもそもここまで増やせてなかった」
「……そうかもしれないですね。ネット販売の件を考えれば」