ビター × スイート
「・・・四宮さん、大丈夫でしょうか・・・」

「大丈夫大丈夫。琉世、酔った時だけ素直なんだよー」

「や、あの、そういう話ではなくて・・・」

「あー、大丈夫大丈夫。琉世、いつもこうなのよ。酒飲んでると、なんかのタイミングで急にパタッと寝るんよなあ。で、だいたい30分くらいで起きる」

「30分・・・」

「そ。昔からこうだし大丈夫。琉世のことは僕が責任持つからさ。そうしたら・・・、のあちゃんどうする?僕はいいけど、ここに泊まっていくのはやだよねえ」

「そ、そうですね・・・」

お店に寝れるスペースはないし、そうなると・・・、麻生さんのプライベートスペースに泊まることになりそうだ。

それはさすがに・・・、いろんな意味で断った方がいいだろう。

麻生さんは「だよねー」と、わかっていたような笑顔で頷く。

「のあちゃん家は?どこに住んでるの?」

「月美が丘です」

「あー・・・、とするとタクシーだと結構かかるか。月美が丘の駅近く?」

「はい。なので電車なら早いんですけど・・・。今日はもう、この辺のビジネスホテル探して泊まります」

「そっか。あ、そしたら知り合いのとこに聞いてみようか。満室でも融通利かせてくれるかも。ちょっと待っててね・・・」

そう言うと、麻生さんは有名チェーンのホテルに電話をしてくれた。

友達のお母さまが支配人をしているホテルだそうで、その友達もフロントで働いているらしい。

「・・・うん。そー。ありがと。じゃあお願いねー」

空き部屋がひとつあるということで、早速予約をしてくれた。

ここからタクシーで5分ぐらいのホテルだし、ひとまず、本日の宿が決まってほっとする。

「・・・よかった・・・。色々とありがとうございました」

席を立ち、カバンから財布を取り出して、お会計を頼んだけれど、麻生さんは「いいよいいよ」と手を振った。

「のあちゃんウーロン茶しか飲んでないし、そもそも琉世に無理やり連れて来られたんだし」

「い、いえ、無理やりってわけでは・・・。それに、おかげさまでちょっと気持ちが楽になったので」

・・・そう。

私は今、少しだけ気持ちが楽になっている。

一人になったらまたいろんな気持ちが湧いてきて、悲しくなるかもしれないけれど・・・、それでも、ここに来るまでの私より、気持ちは前を向いている気がした。

「・・・そっか」

「はい」

「ま、とにかく今日はお代はいいよ。落ち着いたら、また飲みに来てくれると嬉しいけどな」

「わかりました。では今日はお言葉に甘えて・・・、ありがとうございました」

「うん。またね。気をつけてー」

「はい」と私は頷いて、麻生さんに頭を下げて店を出た。

夜の空気。シンとしていてピリッと冷える。

ふと、空を見上げると、遠くで、星がキラキラと輝いていた。












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