ビター × スイート
翌朝起きると、顔がずいぶん浮腫んでた。

昨日・・・、そうだ、私はホテルに着くなりメイクも落とさず寝てしまい・・・。

昨晩はかなりお酒を飲んだし夜更かししたし、当然の結果だと思う。


(・・・うーん・・・、なかなかひどい。今日はゆっくりケアしなければ・・・)


現在9:50。

レイトチェックアウトをお願いしたから12時までにホテルを出ればいいけれど、早めに家に帰ろうか。

二日酔いっぽい気もしているし、家に帰っておかゆ作って・・・、落ち着いたら、お風呂に入ってゆっくり寝よう。

家に帰る途中には、シートパックとクリームと・・・、バスソルトもいいやつを買っていこうかな。

お金はちょっと厳しいけれど、メイクを落とさずに眠ってしまった、28歳の肌をここからなんとか挽回したい。





チェックアウトをしてホテルを出ると、私は、麻生さんのお店に立ち寄ってみることにした。

昨日は夜に行ったから、街の様子は今とは違うし、場所の記憶も若干曖昧だったけど、駅近くのお店だということもあり、すぐに「ここだ」と見つかった。

けれど今は真昼間。

麻生さんのバーは開店前で、シャッターが見事に閉まってる。


(・・・そうだよね。夜のお店なんだもの・・・)


麻生さんの紹介ということで、ホテルでも色々と優遇をしていただいたので、もう一度お礼を伝えたかった。

それに・・・。

四宮さんがいるかもって、ちょっと期待があったんだ。

四宮さんにも、ちゃんとお礼を言いたいな。

私はあのまま帰ってしまったし・・・。

あれから、四宮さんは本当に30分後に起きたのだろうか。

起きたら私がいなくなっていて、驚いたかな、怒ったかな、安心したかな・・・。


『君は、確かにかわいい』


突然、真面目な顔で言われたことを思い出し、頬が一気に熱くなる。

酔っぱらっていたとはいえど、あんなこと、言うキャラではないと思ってたんだけど・・・。


(・・・四宮さん・・・、見た目怖いし・・・)


ーーーだけど。

駅のホームで私の膝元に自分のジャケットを掛けてくれ、そのあとも、ずっと付き添ってくれていた。

「ほっとけなかった」んだって、そんなことも言っていて。

麻生さんは、四宮さんは酔うと素直になるって言っていたけど・・・。

「・・・・・・」


(・・・い、いや!!麻生さんはああいうタイプだし、私のことをからかっていたのかもしれないし・・・)


四宮さんは単純に、酔っておかしなことを口走ってしまった可能性だって十分高い。

うん、そうだ。真に受けて、ドキドキしたりしたらだめ。

私は今、浮気されてフラれたばかりで弱ってる。

お酒を飲んで言われたことなんて、軽くさらっと聞き流さなきゃーーー・・・。

そうしよう、そうしなきゃって、自分自身に何度も何度も言い聞かせていく。

だけどーーー、あの時の、声が耳から離れない。

お酒が入ってなかったら、四宮さんはなんて言う?


ーーー四宮さんの、本音を私は聞きたくて。

四宮さんにまた会いたいと、心の奥で、どうしても、そう願ってしまうのだった。





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