ビター × スイート
心と身体と肌の回復。

土日はとにかくそれらにかける時間だけで精いっぱいで、あっという間に過ぎてしまった。

月曜になり、身体と肌はだいぶ回復したけれど・・・、メンタルはまだ不安定。

祐也の・・・元カレの浮気現場に遭遇し、フラれたというダメージと・・・、四宮さんのことを思い出し、ドキドキと、切なくなるような気持ちが混在しているからだ。

それにーーー、四宮さんには、もう会えないかもっていう不安も募る。

麻生さんのお店に行ってお願いすれば、会う段取りをつけてくれるであろう気はするけれど・・・、酔いも醒め、冷静になった今、迷惑をかけた恥ずかしさと・・・、単純に、「四宮さんに会いたい」ってお願いすることが、恥ずかしいなと感じてしまう。


(・・・とはいえ麻生さんのお店には、いつかお礼に行かないと。その時に、四宮さんに偶然会えたらラッキーだけど・・・)


ふと思い、やっぱり私は四宮さんに会いたいんだなって自覚する。

はあっと小さく息を吐き、火照った顔を手で冷ます。

今はとりあえず身支度をして・・・、そろそろ会社に行かなくちゃ。

私はブーツを履いて家を出て、最寄り駅へと向かっていった。





コッ、コッ、と、小さな靴音を立てて舗装された歩道を歩く。

と、駅の改札口が間近になった瞬間に、私は、息を飲み込んだ。

視線の先。改札口のほど近く。

そこにーーー・・・、四宮さんが立っていたから。


(・・・なんで・・・?)


思わず私は立ち止まる。

驚く私と目が合うと、四宮さんは、こちらに向かって歩き出し、ピタ、と、私の前で動きを止めた。

「・・・おはよう」

「・・・・・・、お、おはよう、ございます・・・・・・」

四宮さんは、どうやら私を待っていたらしい。

けれど私は状況が上手く飲み込めなくて、戸惑ったまま、どうしようかと言葉を探す。

「・・・ここが君の家の最寄り駅だと麻生に聞いて。待ち伏せみたいで、どうかとは思ったんだけど」

「は、はい・・・」

「・・・、その・・・・・・、君に謝った方がいいと言われて来たんだが。相当失礼なことをしてたから、出勤前につかまえて、必ず謝罪をするべきだって」

「え・・・?」

「・・・、悪い。途中から本当に覚えてなくて。その・・・、オレは、君に何をしたんだろうか」

緊張した面持ちで、気まずそうに話す四宮さん。

けれど私は、心当たりが全くなかった。

「いえ・・・、別に・・・、何もされていませんよ。私がご迷惑をかけてしまっただけで」

「・・・本当に?遠慮とか・・・、無理してないか。言えないだけでは」

「ほ、本当です!麻生さんのお店に着いてからのことは、私はしっかり覚えていますから・・・」

・・・そう。

全部ちゃんと覚えてる。

私の気持ちがわかるって言ってくれたこと、かわいいって・・・ほっとけなかったって言われたことも。

「失礼なことは・・・、本当に何も言われてないし、されてませんよ」

私は迷惑をかけてしまったけれど。

四宮さんは・・・、そんなことはしていない。逆にお礼を言いたいくらいで・・・。

伝わるようにしっかり目を見て話をすると、私が無理して言っているわけではないことが、四宮さんはちゃんとわかったようだった。

「・・・そうか・・・。よかった。かなり焦って、土日はずっと気になっていて・・・」

四宮さんは、ほっと息をついていた。

けれどそれは束の間で、すぐに大きく表情を変え、「あいつ・・・!」と、怒りをあらわにしだす。
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