ビター × スイート
「麻生はまた、適当なこと言いやがったな・・・」

四宮さんは黙っていても怖いけど、怒るとさらに怖くなる。

あの日・・・、麻生さんとケンカしそうになった時のことを思い出し、止めなければと私は思う。

これを機に、2人が本気でケンカをしたら、それこそ警察・・・四宮さんは警察官だけど・・・、警察沙汰になりそうだ。

「あ、あの!確かに、失礼なことは何も言われてないんですけど」

「・・・は?」

「四宮さんに、失礼なことは何もされていないし何も言われてませんけど・・・、き、気になることは、言われまして。多分、麻生さんは、それを言いたかったのかもしれないです」

若干こじつけっぽいけれど、嘘を言ったわけじゃない。

気になることは言われたし、私はずっと気にしているし・・・。

四宮さんは、また、緊張したような顔になる。

「気になること・・・、オレは、君に何を言ったんだ」

「そ、それは・・・」

「言ってくれ。内容によっては、きちんとした形で謝罪する。そのつもりで今日は来てるから」

真面目な顔で見つめられ、私はちょっとドキッとなった。

その顔で、かわいいって言われたんです・・・、なんて、言えるわけがないじゃない!!!

「な・・・、内緒です。秘密」

「は?・・・・・・、真面目に聞いているんだが。ふざけてんのか」

「ふ、ふざけてるわけじゃないですよ!四宮さんこそ・・・」

「・・・なんだ」

「・・・・・・」


(酔ってあんなこと言ってきたくせに・・・)


全部忘れているなんて。

かわいいって言われたなんて、四宮さんには言えないけれど、だからといってこのままは、もやもやするし、ずっと気にしている私が悔しい。

それに・・・このまま、これで終わってしまったらーーー・・・。

「・・・食事・・・、今度、一緒に行ってくれますか」

「・・・・・・は・・・?なんだ突然」

「つ、連れて行ってくれたら・・・、言えたら言います」

「・・・・・・」

四宮さんが眉根を寄せた。

だけど、ここで引き下がったら絶対後悔してしまう。

「な、なんかすごく素敵なお店に!その・・・、言えたら言う、の、代わりというか・・・」


(あああ・・・、我ながら、なんて可愛げのない駆け引きなんだ・・・!最後は絶対余計なひと言・・・)


これはもう、怒って呆れられるかも。「もういい」って言われる予感。

・・・やってしまった。

ドキドキしながら、四宮さんの返答を待つ。

怖い・・・と思いつつ、チラッと四宮さんを見上げると、睨むように見下ろす視線と目が合った。

けれどーーー・・・、それはほんの一瞬で。

四宮さんは、すぐに諦めたようにふっと笑った。

「なかなかいい度胸だな」

すごく、優しい顔だった。

私は途端にドキッとなって、嬉しくて、「はい・・・!」と大きく頷いた。

「いい・・・、度胸です」

「ああ」

もう一度、四宮さんが優しく笑う。

私も笑って、なんだか胸がいっぱいだった。



次の約束を交わす。

連絡先が一つ増えた。

お互いに、今度はお酒はナシで話したい。

貴方の本音を、ちゃんと聞かせてほしいから。




☆     ☆     END     ☆     ☆     




お読みいただきどうもありがとうございました!




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