ビター × スイート
それから、麻生さんは私にウーロン茶を出して、四宮さんには「適当でいいよな」と言って、琥珀色の液体が入ったグラスを出した。

四宮さんもウーロン茶かなと思ったけれど、私のウーロン茶とは色合いがちょっと違っているような・・・。

なんだろう?

「木更津さん」

グラスを観察していると、四宮さんから声をかけられた。

怒られるような予感がしたために、私は「はい!」とピシッと姿勢を正す。

「早速だけど。さっきの続きを聞かせてもらおうか。あそこまで話を聞かされたんだ。オレには続きを聞く権利があるはずだ」

「・・・っ」


(ああ、もう、ほんとに、その時の私は一体なにをやってるの・・・!)


数十分前の自分に対し、「やめろー!!」と大きな声で叫びたい。

今後、私は絶対外でのお酒は一杯だけにしようと思う。

「・・・あの・・・、聞かなかったことにするというのは・・・」

「無理だな。あのタイミングで泣かれたこっちの身にもなってみろ。このままじゃ、後味悪すぎる」

「・・・・・・」


(うう・・・、引いてくれなそう・・・)


悪いのは私なのだから、仕方ないと言えば仕方ないのだけれど。

酔っぱらっていた時とは違い、気持ちが落ち着いてきた今、初対面の男性に続きの話をするというのは抵抗がある。

しかも・・・、初対面の男性2人。

どうしよう・・・と思っていると、麻生さんが、「あ、僕のことは空気だと思っていいからね。気にせず話して」と言ってきた。


(く、空気!?そう言われても・・・)


どう見ても視界に入っているし、空気だなんて思えない。

それに・・・、麻生さんはちょっと軽そうな気がして色々心配。

そんな私の心の内を読んだのか、四宮さんは「ああ」と言って、気づいたように言葉を足した。

「こう見えて、こいつは口だけは堅い。それに、こういう商売しているからな。客の話は全部適当に聞き流す」

「・・・、なんかそれ、褒められてる感じしないけど・・・」

「正解だ。別に褒めてるわけじゃない。ただ事実を言っているだけだ」

「・・・ですよねー」

はははーと笑う麻生さん。
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